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おひとりさま時間「Me Time」、ウェルビーイングに良い影響は本当にある?

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2025年01月10日 AM11:00

「Me Time」、回復効果が高い過ごし方とは?

「Me Time(ミータイム;自分のための時間)」の過ごし方として、森の奥深くを1人でハイキングするのと喫茶店でカフェラテを飲みながら読書するのとでは、どちらの方がより回復効果が高いだろうか? その答えは意外なことに、周囲に人がいる環境でコーヒーと良書を片手に自分自身と向き合うのがベストであることを示唆する研究結果が明らかになった。完全に1人きりになって過ごす張り詰めた体験は、社会的つながりをある程度維持した状態で過ごすMe Timeほど、その人のウェルビーイングに良い影響をもたらすわけではないことが示されたという。米オレゴン州立大学コミュニケーション学分野のMorgan Quinn Ross氏と米オハイオ州立大学コミュニケーション学分野のScott Campbell氏によるこの研究の詳細は、「PLOS One」に12月5日掲載された。


画像提供HealthDay

Ross氏はオレゴン州立大学のニュースリリースの中で、「完全に1人きりにはならない方が、エネルギーを回復し、他者とのつながりを維持しやすいことが分かった」と述べ、「ほぼいつでもクリック一つで社会とつながることができる今の世の中では、社会的相互作用とさまざまなタイプの孤独とのバランスの取り方を知っておく必要がある」と付け加えている。

Ross氏らはこの研究で、888人(平均年齢61.9歳、男性359人)を対象にメンタルヘルスや、1人きりになるときと他者と関わるときの嗜好について調査を行った。具体的には、その人のMe Timeが人やテクノロジーによって妨げられ、1人の時間がより社会的性質を帯びる条件を調べた。その結果、携帯電話でゲームをしたり、1人で映画を見に行ったりするような、完全に1人きりにはならない過ごし方は、砂漠での孤独なドライブや人里離れた山小屋での執筆活動よりも利点のあることが明らかになった。

Ross氏らは、「Communicate Bond Belongと呼ばれる一般的な理論では、Me Timeは一種のトレードオフであると考えられてきた」と述べている。すなわち、この理論によると、他者との関係性は社会的相互作用によって築かれるが、それには社会的エネルギー、つまりその人が社会的相互作用に使う能力が消耗される。反対に、1人きりで過ごすと社会的エネルギーは回復するが、その代償として関係性が失われる。

しかし、今回の研究ではそれほど単純ではないことが示された。Ross氏は、「われわれの研究では、1人きりでいることが、実は社会的相互作用と表裏の関係にあるわけではないことが示唆された」と話す。同氏は、「強い社会的相互作用は他者とのつながりをもたらすが、エネルギーを消耗する。一方、強い孤独はエネルギーと他者とのつながりの両方を失わせる。1人きりでいることは、社会的相互作用で使われるエネルギーを回復させる単純な方法として機能するわけではないようだ」との見方を示している。

興味深いことに、こうした結果は外交的な人と内向的な人の両方に当てはまることが分かったという。ただし、完全に1人きりになることがエネルギーの回復やつながりの維持に役立つと考える人にとっては、社会とのつながりにどれだけエネルギーを注いでいるかにかかわらず、完全な孤独が有益となる場合もある。

Ross氏は、「もしあなたが、孤独に対して肯定的な考えを持っている、つまり、孤独になることはエネルギー回復の手段であり、人々とはその後でもつながることができると分かっているのであれば、孤独を選択することは、おそらくあなたの心の状態を良くするだろう。しかし、人と話したくないという理由から社会的相互作用に対して否定的な考えを持ち、孤独になることを選ぶと、おそらく心の状態が悪化するだろう」と結論付けている。(HealthDay News 2024年12月23日)

▼外部リンク
The tradeoff of solitude? Restoration and relatedness across shades of solitude

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