同加算の上乗せ加算は、同日午前に行われた福岡資麿厚生労働相と加藤勝信財務相の大臣折衝でも合意された内容となる。
2024年度診療報酬改定で新設された特定薬剤管理指導加算3ロでは、調剤前に医薬品の選択に関する情報が特に必要な患者に説明・指導を行った場合、5点を算定できる。
具体的には、後発品が存在する先発品であり、一般名処方または銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発品を選択しようとする患者に説明を行った場合などを対象としており、長期収載品に関する選定療養の対象患者に説明を行った際に算定できる。
一方、日本保険薬局協会による調査結果などでは、長期収載品の選定療養に関する患者対応に負担を感じている薬局は全体の9割に上り、患者への説明に10分程度かかる薬局が多く見られていた。
また、「患者に対して説明に時間がかかり、業務に支障が出た」「特別料金が発生することに理解が得られなかった」など、ネガティブな事例も報告されている。
そのため、厚労省は薬局における現状を考慮し、診療報酬上の特別措置案を示し、同加算について現在の5点から10点に引き上げることとした。かかりつけ薬剤師指導料における同加算についても同様の見直しを行う。
現行の同加算では、医薬品の供給状況が不安定なために、前回調剤された銘柄から別の銘柄に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に説明を行った場合も算定要件の一つとなっている。
厚労省は、5点上乗せする根拠として「加算新設時は医薬品の供給不安対応だけだったが、10月以降の長期収載品の選定療養化により、説明にかかる薬局の負担が増したため」と説明。改定の実施時期については、「予算編成過程で変更もあり得るので確定ではないが、来年4月の実施を予定している」とした。
期中改定の運用方針は、「医療機関や薬局を取り巻く情勢を踏まえ、業務負担と業務の効率化を診療報酬で評価するために行う」と説明し、タイムリーに状況を見ながら実施の有無を判断するとしている。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「患者説明に時間がかかることで業務に支障が出て、特別な料金が発生することに理解を得られないなど現場は苦労している。後発品の使用を進めるためにも、関係する報酬上の前向きな評価が必要」と訴えた。