医療面接を臨床現場に近い形で繰り返しトレーニングする方法はなかった
関西医科大学は12月19日、医療面接をトレーニングするための生成AI搭載ヒューマノイド「医療面接ロボット」(Prototype)を開発したと発表した。この研究は、同大教育センターの西屋克己教授・センター長と、株式会社テムザックらの研究グループによるもの。
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医療面接は、患者さんと医師が信頼関係を築き、正確な診断を行うためのもので、患者さんとの良好なコミュニケーションを通じて、主訴や現病歴、既往歴、家族歴などを医師が患者に尋ねて情報収集する。しかし、ロボットタイプの医療面接シミュレータはなく、臨床現場を想定したシミュレーションはできなかった。
そこで研究グループは今回、テムザックが約10年前から手掛けてきたリアルな患者型シミュレーターロボットの技術を基に生成AIを搭載し、医療面接トレーニング用ロボットの開発に至った。このロボットにより、医療面接を臨床現場に近い形で繰り返しトレーニングできる環境が整ったと言える。
本物の人間のようなビジュアルと動き、57言語に対応
医療面接ロボットは、生成AIを活用してさまざまな患者への対応を学ぶことができる人型ロボット。患者と医師が対話することで信頼関係を築き、正確に判断するために行われる医療面接を訓練することができる。
具体的には、搭載の生成AIが医療面接における対話を適切に判断し、スムーズなコミュニケーションを生成する。また、本物の人間のようなビジュアルと動きで臨床に近い臨場感を演出。さらに日本語だけでなく英語など57言語でのトレーニングが可能で、国際的な医療面接にも対応する。
フィードバック機能でトレーニングの効果も確認可能
さらに、聞くべき項目が聞けたかを確認できるフィードバック機能も搭載されており、トレーニングの効果を一目で把握できる。医療面接ロボットでトレーニングを繰り返すことでコミュニケーションスキルが向上し、医師に必要な対話スキルを強化し、患者との信頼関係を築く手助けをしてくれる。
両社は「この医療面接ロボットは、医療現場における教育とトレーニングの新たなスタンダードとなることを目指している。また、状況設定を自由自在に変更できるという特徴を生かし、今回の医療分野を皮切りとして、今後、さまざまなバリエーションのAI搭載ヒューマノイドとして展開する予定だ」と、述べている。なお、同ロボットは検証と改良を経て、2025年夏頃に製品版を発売開始する予定。
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・関西医科大学 プレスリリース