iPPFEやPPFE様病変を伴った間質性肺疾患、国内患者数は相当数
浜松医科大学は12月18日、特発性上葉優位型肺線維症・特発性胸膜肺実質線維弾性症(idiopathic Pleuroparenchymal Fibroelastosis, iPPFE)の過去の論文のレビューから、臨床的特徴、診断基準、予後因子、治療戦略について概要をまとめ、発表した。この研究は、同大内科学第二講座の鈴木勇三助教が行ったもの。研究成果は、「Respiratory Investigation」に掲載されている。
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iPPFEは、肺上葉を中心とした胸膜および肺実質の線維化を特徴とする間質性肺炎の一種で、米国胸部学会(ATS)と欧州呼吸器学会(ERS)によって希少疾患として分類されている。一方、日本においては、iPPFEやPPFE様病変を伴った間質性肺疾患は従来考えられていたよりも、相当に多くの患者が存在すること、間質性肺疾患の中でも最も重症度が高い一群であることが明らかになりつつある。今回の研究では、これまでの研究を集約し、臨床的特徴や予後リスク、治療の課題を総括した。
画像診断・臨床所見を基にした診断指針提案、栄養介入・呼吸リハビリの研究推進を議論
臨床的特徴は、主に肺の上葉を中心とする線維化が特徴で、扁平胸や痩せ型の体格が一般的である。今回の研究論文では、低い体重指数(BMI)や栄養不良が予後に強く関連すること、下葉病変の意義についても、わかりやすく解説した。また、臨床診断基準に関しては、従来の病理診断に依存しない、画像診断や臨床所見を基にした診断指針を提案。患者への負担軽減が期待される。
治療方法については、肺移植を除いて確立された治療法はなく、抗線維化薬の有効性についても確立されていない。栄養介入、呼吸リハビリテーションの重要性や可能性について最新の知見を紹介し、さらなる研究の必要性について議論している。
予後因子については、これまでの報告から、低BMI、栄養指標(GNRI)の低下、肺機能の低下(FVC、DLCO)、およびCTによる上葉容積の減少が、疾患の重症度や予後に影響することがわかっており、論文中では図示して解説した。
「iPPFEに関する知識を大きく前進させる一助となるとともに、希少疾患に対する認識を広める重要なステップとなる。この疾患に苦しむ患者の診断精度向上、患者ケアの向上や治療法の発展に貢献することが期待される」と、鈴木勇三助教は述べている。
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