家族や介護者向け、専門医監修の体験型VRトレーニングプログラム
大塚製薬株式会社は12月12日、株式会社ジョリーグッドとの共同事業である「FACEDUO(フェイスデュオ)」のVRトレーニングプログラム「認知症ケア支援VR」の販売を開始したと発表した。
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「認知症ケア支援VR」は、認知症の方の家族や介護士をはじめとする介護者が、認知症の方の気持ちや行動の背景を知り、具体的な対応を学ぶための、専門医監修の体験型VRトレーニングプログラム。介護者が、自身の普段の対応や行動を、VRを通じて認知症の方の主観で体験することで、認知症の方の行動の背景や気持ちを理解することに役立ち、接し方の工夫などを学ぶことができる。2024年9月よりプレリリース版(お試し体験)の提供を開始しており、12月より販売を開始した。
同プログラムによる認知症ケアの向上により、認知症の方がその人らしく暮らし続けることを可能にしながら、介護者のストレスも軽減され、双方が充実した日々を送ることができる「認知症との共生社会」の実現を目指す。
認知症の症状の理解/認知症の方の気持ち・行動の理解と工夫/リラックスVRで構成
認知症ケア支援VRは専門家の監修に基づき開発され、3つのテーマで構成されている。「認知症の症状の理解」では、介護者が戸惑った場面を家族目線で体験し、場面を振り返りながら、認知症の症状について理解を深める。「認知症の方の気持ち・行動の理解と工夫」では、介護者が認知症の方と接する中で難しいと感じる場面の体験を、「きっかけ→気持ち・行動→対応」という流れで分析を行い、きっかけを変えることや、認知症の方の気持ちを理解した対応へのアドバイスが提供される。「リラックスVR」では、リラックスできるVR空間で呼吸法を用い、介護者の方々が体と心をリラックスさせる体験を通じ、ストレス軽減を図る。
認知症の方との接し方の工夫を実践的に学ぶ、支援者の負担軽減にも
同プログラムは、認知症の方との接し方の工夫を実践的に学べるよう、実写VR技術によるリアル感と、3Dグラフィックスを活用した仮想空間を組み合わせた。それにより、学びやすさとわかりやすさ、継続して受講しやすい要素を加えている。VRの進行役とドクターがトレーニングを進めるため、認知症介護者を教育する支援者の負担の軽減にもつながるとしている。
認知症との共生社会の実現に向けては、認知症になったら何もできなくなるのではなく、できること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とつながりながら、役割を果たし、自分らしく暮らしたいという希望があることなど、認知症の人が基本的人権を有する個人として認知症とともに希望を持って生きるという「新しい認知症観」の考え方に立つことが必要であると言われている。
「認知症ケア支援VR」の体験は、(1)認知症の方の行動の背景を、体験を通じて理解し、(2)シミュレーションを通じて具体的な対応学び、(3)認知症の方の視点に立つことで共感に基づいたケアが提供できるようになる、といった3つの視点から、「新しい認知症観」の理解につながることが期待できると考えられる、と研究グループは述べている。
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・大塚製薬株式会社 プレスリリース