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がん抑制遺伝子ARMC5に、飽和脂肪酸を減らし不飽和脂肪酸を増やす機能を発見-阪大

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2024年12月13日 AM09:10

SREBP1を分解するユビキチンリガーゼARMC5の生理機能は不明だった

大阪大学は12月5日、がん抑制遺伝子でありSREBP1分解因子であるARMC5が、脂肪組織において飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を増やすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の魚田晃史大学院生、奥野陽亮助教、下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Biological Chemistry」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

SREBPはコレステロール合成遺伝子や脂質合成遺伝子の発現調節に中心的役割を果たす転写因子。一方、ユビキチンリガーゼは、タンパク質に小分子であるユビキチンを付加するタンパク質。ユビキチン化されたタンパク質は、プロテアソーム経路により積極的に分解されて除去される。

近年、研究グループは、脂質代謝において中心的役割を担うSREBP1を分解するユビキチンリガーゼARMC5を同定していたが、その生理機能はよくわかっていなかった。

ARMC5が脂肪組織で飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を増やすことを解明

研究グループは今回、脂肪細胞特異的にARMC5を欠損させたマウスにおいて脂肪酸不飽和化酵素SCDの発現がほぼ消失すること、その結果、脂肪組織の飽和脂肪酸が増加し、不飽和脂肪酸が減少することを見出した。

ARMC5がSCAPと結合していないSREBP1を選択的に分解して活性化

もともとSREBP1はSCAPと結合して活性化され、SCDを発現誘導することが知られていたが、ARMC5がSCAPと結合していないSREBP1を選択的に分解することにより、SREBP1を活性化することを示した。

ARMC5を標的とした、体内の「飽和/不飽和脂肪酸量」を調整できる薬剤の開発に期待

これまで、飽和脂肪酸の摂取は血液中の悪玉コレステロールを増加させ動脈硬化性疾患のリスクを高めるなど健康に悪く、不飽和脂肪酸の摂取は逆に悪玉コレステロールを低下させるなど健康に良いことがわかっていた。

「ARMC5を標的とすることで、体内の飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸量を調整できる新規薬剤の開発が期待される」と、研究グループは述べている。

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