東京都薬剤師会の高橋正夫会長は6日の定例会見で、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において、製造販売業者に安定供給確保を法令上規定する方向性が了承されたことに言及。「原薬がメーカーに届き、製造できる状況が確実にあった上で増産をお願いするということであればできると思うが、原薬が不足している状況でお願いできるわけではない」と述べ、後発品の安定供給問題の解決にはサプライチェーンの改善が必要不可欠との認識を示した。
3月から限定出荷や供給停止等の供給不足の発生について、製造販売業者から供給状況報告として受け付け、医療機関などに情報公開する取り組みが始まっている。高橋氏は「供給が危ないタイミングと、流通が動いてきて薬局店頭や病院薬剤部に届く時では全く同じ状況ではなく、イタチごっことなってあまり役に立たない」と疑問視した。
その上で、度重なる薬価改定による薬価引き下げを進める国の政策を批判。「メーカーが薬を作る意欲がないほどに値下げをしてしまったのは事実。物価高騰の状況があるにも関わらず、下げようとしているのはおかしい」と述べた。
高松登副会長は、薬価調査の速報値で平均乖離率が過去最小の約5.2%になった結果について、「個店の薬局は値引きによる利益が得られていない。平均5.2%でその値引きがどこにいっているのか、個別の状況を調べてほしい」と訴えた。
一方、高橋氏は10月にスタートした長期収載品の選定療養に関し、「後発品の説明をして別立てで費用がかかることを説明し、切り替えた患者さんでは、(その次の来局時に)特に問題がなかった人が多かった」と報告。貼付剤やクリームなど使用感が重視される剤形に比べ錠剤については「ブランド志向の方は別だが、そうでない方については後発品の使用推進にはつながっているような気がしている」と所感を語った。