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IgA腎症、発症にむし歯菌の表面タンパク質の関与が判明-岡山大ほか

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2024年10月30日 AM09:10

糸球体にIgAが沈着する難病のIgA腎症、発症メカニズムの詳細は未解明

岡山大学は10月22日、指定難病の1つで原因が不明とされ根本治療法が確立されていないIgA腎症に関して、動物モデルを用いた研究において、むし歯菌()が表面に出しているタンパク質の1つが、その発症メカニズムに関与している可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大学術研究院医歯薬学域(歯)小児歯科学の仲野道代教授、仲周平准教授、大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の仲野和彦教授、聖隷浜松病院腎臓内科の三﨑太郎部長、兵庫医科大学総合診療内科学の長澤康行准教授、広島大学大学院医系科学研究科小児歯科学の野村良太教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Communications Biology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

IgA腎症は、腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAというタンパク質が沈着する病気で、多くは慢性の経過をたどり、末期腎不全へ進行した場合は、透析や腎臓移植などの治療が必要となる。IgA腎症は、日本の疫学調査からは、子どもから大人まで幅広い年齢層にわたり約3万3,000人の患者がいると推計され、根本治療法がない病気の1つとされてきた。これまでに、何らかの「感染」が関与している可能性が考えられてきたが、その詳細は明らかになっていなかった。特に、この病気は上気道炎や扁桃炎が引き金になることがあることから、口の細菌との関連が想定されてきたが、医科歯科連携のもとでの研究はほとんどなされてこなかった。

むし歯菌表層のCnmタンパク質、IgA腎症様の腎炎を誘発する可能性

研究グループはこれまでに、IgA腎症を患っている患者の唾液より分離したむし歯菌(ミュータンスレンサ球菌)をラットの頸静脈より投与することで、IgA腎症様の腎炎を発症させることに成功していた。そして、患者から分離された菌の表層には、通常のむし歯菌ではあまり存在していないコラーゲンに結合するCnmタンパク質というものが存在していることを突き止め、このCnmタンパク質自体がIgA腎症発症メカニズムの一端に関与しているのではないかという仮説に至った。

そこで、今回は菌の表層のCnmタンパク質を人工的に作製して、同様にラットの頸静脈より投与したところ、Cnmタンパク質の投与のみで腎炎が発症することがわかった。このことから、Cnmタンパク質を持つむし歯菌が口の中に存在する場合は、何らかの原因でこの菌が体内に侵入することでIgA腎症のような腎炎を誘発する可能性があることが考えられた。

医科歯科の連携、IgA腎症に関しては特に重要と示唆

今回の研究によって、これまで根本療法が確立されていないIgA腎症に対して、むし歯菌の特定の表層タンパク質が関与する発症メカニズムの可能性を示すことができた。

「今後は、このタンパク質によって引き起こされる病気をコントロールする方法を考えていくことで、新たな治療法を確立できるなどのよい状況を作り出していけるのではないかと期待している。また、歯科領域でのアプローチでむし歯菌を減らしていくことで、患者の腎臓の状態が改善する可能性も想定されることから、特にIgA腎症に関しては、医科歯科連携を強化していくことが重要であると考えている」と、研究グループは述べている。

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