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理研 炎症や免疫応答の要となる転写因子の閾値決定機構の解明に成功

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2014年05月26日 AM06:05

炎症や免疫応答で細胞の状態を決定するNF-κB

独立行政法人理化学研究所は5月16日、炎症や免疫応答の要となる分子である「NF-kappaB」の閾値を決定する分子メカニズムを解明することに成功したと発表した。

この発見は、理研統合生命医科学研究センター統合細胞システム研究チーム、理研佐甲細胞情報研究室、理研生命システム研究センター、カリフォルニア大学らの共同研究グループによるもの。研究の詳細は米科学誌「Science」の5月15日号に掲載される。


画像はプレスリリースより

転写因子には、細胞や組織の性質や病態を決定する役割があるが、炎症や免疫応答ではNF-kappaB(NF-κB)が細胞の状態を決定している。NF-κBの活性が十分でないと免疫不全を起こし、過剰に活性化されると自己免疫疾患やがんを引き起こすとされている。

このことから、NF-κBには適切な活性の範囲と活性化の有無を決定する閾値があると考えられていたが、その分子機構は全く分かっていなかった。

「正のフィードバック」によりNF-κBの閾値が決定

そこで研究グループは、NF-κBが活性化するための閾値を決める制御メカニズムの役割の解明に取り組んだという。

「CARMA1-TAK1-IKK」は、B細胞のシグナル伝達をNF-κBに仲介するアダプター分子「CARMA1」とリン酸化酵素の「TAK1」および「IKK」とで構成されており、これらが連携して細胞内で情報を伝達し、NF-κBを活性化する。研究グループはこの経路のシミュレーション解析を行った。

その結果、TAK1がCARMA1のリン酸化を介して、IKK活性をさらに増幅するという「正のフィードバック」制御を行い、これによりNF-κBの閾値を決定していることが分かったという。さらに、このメカニズムによるNF-κBの閾値活性の制御を1細胞レベルで検証。B細胞受容体を刺激すると、一定の刺激量以上ではNF-κBの核内移行が「起きる、起きない(0か1)」のデジタルに制御される、つまり、閾値が存在することが認められたとしている。

今回の研究によってNF-κB活性化の閾値決定には、IKKだけでなく、TAK1やCARMA1などの分子が重要なことが判明した。CARMA1の遺伝子異常は、がんやアトピー性皮膚炎の発症にも関与していることが分かっている。今回の成果は、こうした疾病に対する新しい治療法や薬剤の開発への応用が期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/

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