敗血症患者の半数は2年以内に死亡する
救急外来を受診して入院した敗血症患者の50%強が2年以内に死亡していることが、オーフス大学病院(デンマーク)臨床疫学分野のFinn Nielsen氏らによる新たな研究で明らかになった。Nielsen氏は、「敗血症後の死亡リスクを上昇させるいくつかの因子が判明した。当然のことながら、高齢はその1つであり、認知症、心臓病、がん、過去6カ月以内の敗血症による入院歴などもリスク上昇と関連していた」と述べている。この研究結果は、ヨーロッパ救急医学会年次総会(EUSEM 2024、10月13〜16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。
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この研究でNielsen氏らは、2017年10月から2018年3月の間に感染症の疑いで同大学病院に入院した患者2,110人の転帰を追跡調査した。これらの患者のうち714人が敗血症を発症していた。Nielsen氏は、「われわれの研究は、前向きに収集された患者データに基づく敗血症データベースに依拠したものだ。これまでの研究で頻繁に使用されているレジストリデータとは異なり、このアプローチはエラーを最小限に抑え、敗血症の影響についてより正確で詳細な洞察を可能にする」と説明している。
その結果、中央値で2年後、361人(50.6%)が敗血症を含むあらゆる原因により死亡していた。関連因子を検討したところ、高齢の場合、年齢が1歳上がるごとに死亡リスクが4%上昇することが明らかになった。また、死亡リスクは、がんの既往歴がある場合では2倍以上(121%の増加)、虚血性心疾患がある場合では39%、認知症がある場合では90%、過去6カ月以内に敗血症による入院歴がある場合では48%増加することも示された。
Nielsen氏は、「この知見は、急性期医療に携わる臨床医と研究者の双方に有益だと思われる。敗血症は死亡率の高い重篤な疾患だと認識することが重要だ」と話している。その一方で同氏は、「この研究は単一施設で実施されたため、より大規模な研究が必要だ。敗血症の包括的な疫学的状況を把握するには、本研究と同様の手法を用いた、診療部門、地域、国を越えたより大規模な研究を実施して敗血症関連の転帰について繰り返し検討する必要がある」と述べている。
本研究には関与していない、EUSEMの演題選定委員長であるBarbra Backus氏は学会のニュースリリースの中で、「敗血症は、重篤で死に至る可能性のある疾患だ。敗血症の発症率はいくつかの国で増加しているが、現時点では、敗血症を発症した患者の長期的な転帰に関する信頼できる情報は限られている」と指摘する。その上で同氏は、「この研究は、敗血症患者の死亡リスクを高める可能性がある、警戒すべき特定のリスク因子を明らかにした。臨床医はこの知見を、患者をより注意深く監視し、経過観察するために活用できるはずだ」と述べている。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。
▼外部リンク
・Half of all patients with sepsis die within two years
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