医薬品医療機器等法では、卸売販売業者の医薬品の販売先は薬局・病院等としており、訪問看護STは原則として含まれないが、消毒用医薬品、グリセリン浣腸液、白色ワセリン等の応急処置や褥瘡の予防・処置に必要なものを販売することを認めている。
厚労省はこの日の検討会で、在宅医療における薬剤提供のあり方について、地域の医療機関・薬局による医薬品提供体制を把握した上で、薬剤師が調剤または医師が処方箋により自ら調剤したものを必要な時に必要な患者に供給できる体制を整えるための課題を抽出し、薬剤師や対応薬局の確保、関係機関、関係職種の連携体制の構築推進が必要との考えを提示した。
一方、速やかに課題解決できない場合の「当面の特例的な対応」として、予め医師が予見して処方し、医師または薬剤師が調剤した薬剤を患者宅や訪問看護STに配置して対応することについて、薬剤師、医師、訪問看護師が協議・検討した上で実施する案も示した。同案が不可能な場合は、これらの医療職種が事前に合意した上で、医師の指示に基づいて必要最低限の医薬品(少なくとも看護師による処置で使用されるまたはその場で投薬されるものに限定)を訪問看護STに配置し、訪問看護師が医師または薬剤師による確認を受けた後に患者に使用できるようにすることとした。
検討会を欠席した井本寛子構成員(日本看護協会常任理事)は、意見書で特例的な場合に限り、訪問看護STを活用した医薬品提供を行うとする厚労省案を評価した一方、橋場元構成員(日本薬剤師会常務理事)は「患者の医療安全の確保を絶対条件とした上で検討を行うことはあり得る」としつつも、「対象医薬品の範囲、条件、品質管理は不可欠」と慎重な検討を求めた。
磯崎哲男構成員(神奈川県医師会理事)は、「特例を認める場合は前提条件として、公的な職能団体や行政を巻き込んだ検討が必要だ。また、全国ではなく非常に困っている地域に限定するなどの規制をかけるべき」と条件を付けた。
飯島裕也構成員(イイジマ薬局)は、「近隣の薬局が夜間等に対応できない場合、(関係職種)全体の連携を図る前に地域薬剤師会に連絡してもらい、対応できない場合に地域医師会等を含めて検討すれば良い」との考えを示した。