心房細動治療の「微小循環障害」への効果は?
東北大学は8月30日、心房細動に対する根治治療であるカテーテルアブレーションの施行により、脈拍の正常化のみならず、眼底の血流などの微小循環障害が改善する可能性が示されたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科循環器内科学分野の安田聡教授、中野誠講師、山本惟彦助教、同眼科学分野中澤徹教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「European Heart Journal Imaging Methods and Practice」にオンライン掲載されている。
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心房細動は加齢に伴い増加する不整脈であり、現在約100万人の患者数が推定されており、今後も増加が見込まれている。心房細動は心不全、脳梗塞の原因疾患となることが知られているが、近年、認知機能障害の一因になることも明らかになっている。これまでに心房細動治療による心不全の改善効果などが報告されているが、眼血流などの微小循環の改善効果については明らかにされていなかった。
心房細動へのカテーテルアブレーション施行で、眼底の微小循環血流が有意に改善
研究グループは、東北大学病院にて心房細動に対する根治治療であるカテーテルアブレーション施行患者において、治療前後の眼底の微小循環血流を評価した。
その結果、持続性心房細動患者20例において、カテーテルアブレーションにより洞調律に回復することで、眼底の微小循環血流が有意に改善することが示された。
微小循環障害の改善を介した臓器保護・機能改善効果に期待
今回の研究成果により、心房細動に対するカテーテルアブレーションにより脈拍の正常化のみならず、全身の微小循環障害が改善する可能性が示唆された。微小循環障害の改善を介した臓器保護や機能改善効果が期待されると、研究グループは述べている。
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