動物実験では、抗パーキンソン作用やパーキンソン症状を示す可能性が示唆
岐阜薬科大学は8月19日、メラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性について調査した結果を発表した。この研究は、同大実践薬学大講座病院薬学研究室の研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Pineal Research」に掲載されている。
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パーキンソン病は世界中で数百万人が罹患しており、病気の予防と治療に大きな進展がなければ、その罹患率と有病率は2030年までに30%以上増加する可能性がある。近年、パーキンソン病の新規治療戦略として、睡眠と概日システムを標的とすることに注目されている。
黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの進行性喪失、α-シヌクレイン(α-syn)からなるレビー小体およびレビー神経突起の形成は、パーキンソン病の主要な病理学的特徴。ドーパミンニューロンにおけるα-synの蓄積はアポトーシスを誘導し、最終的にパーキンソン病の症状を引き起こす。先行研究の動物実験では、メラトニン受容体作動薬が、MT1受容体の活性化やPARP阻害によりα-synの凝集を抑制することによって抗パーキンソン作用を示す可能性や、アゴメラチンがPARP1の発現を変化することなくカスパーゼ3を発現してアポトーシス関連因子を誘導することにより、パーキンソン症状を示す可能性が示唆されていた。
メラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性を調査、FDA個別症例安全性報告DBで
今回の研究では、米国食品医薬品局(FDA)によって集積された個別症例安全性報告のデータベース(FAERS)を用いて、メラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性について調査した。
ラメルテオン・タシメルテオは負の相関、アゴメラチン正の相関
メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン、タシメルテオン、アゴメラチン)とパーキンソン病との関連について、報告オッズ比(ROR)によって評価された。なお、タシメルテオンは日本未発売(2024年8月現在)。FAERSに登録された全患者のデータを解析した結果、ラメルテオン(ROR:0.66,95%信頼区間;95%CI:0.51-0.84)とタシメルテオン(ROR:0.49,95%CI:0.38-0.62)はパーキンソン病と負の相関を示した。逆に、アゴメラチンはパーキンソン病と正の相関を示した(ROR:2.63、95%CI:2.04-3.40)。男性、女性それぞれ層別解析も実施したが、同様な関連性を示した。
ヒト対象評価報告は初、パーキンソン病の新規治療に期待
今回の研究では、個別症例安全性報告を用いた、ヒトを対象にメラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性を評価した初めての報告だ。同研究で示されたメラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性については、パーキンソン病の新規治療戦略につながることが期待される、と研究グループは述べている。
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