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カリフォルニア大 運動学習中の脳神経活動の可視化に成功

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2014年05月20日 AM06:05

大脳皮質運動野に注目

科学技術振興機構(JST)は5月5日、JST課題達成型基礎研究の一環として、カリフォルニア大学サンディエゴ校の小宮山尚樹アシスタント・プロフェッサーらがマウスを用いた実験で、運動学習中の大脳皮質にある「運動野」の神経活動を可視化することに成功したことを発表した。この研究成果は、5月4日発行の英国科学誌「Nature」に掲載されている。


(画像はプレスリリースより)

脳の神経細胞群の活動と行動との関連性は、長期間における学習ならびに経験によって調節されていると考えられている。

同研究では、最も根本的な学習の1つである運動学習と、運動行動を制御する重要な脳の部分である大脳皮質運動野に注目。生きたまま長期間、脳の活動を観察可能な技術を開発することで、運動学習が運動野の活動にどのような変化をもたらすのかを解明するために行われた。

非常に似た運動パターンでも異なる神経活動パターン

研究者らは、同一マウス個体の神経回路の2週間にわたる運動学習中の変化を可視化する革新的なイメージング手法を開発し、運動パターンとともに解析した。

その結果、学習の当初の段階では、非常に似た運動パターンであっても神経活動パターンが異なること、学習が進むにつれて神経活動と運動の関係が固定され、学習した運動に特化した神経活動パターンが徐々に形成されることが明らかになったという。

また、同じ学習中に神経同士のシナプス結合を観察したところ、学習中の神経活動パターンの変化が、運動野内での神経回路に関するつながり方自体の変化によるものである可能性が示唆された。

学習・記憶障害の治療に

運動野の神経活動は、運動行動の制御に重要な役割を果たすと考えられており、運動野の神経活動と実際の運動行動は、密接で安定した関係があるとされてきた。しかし、学習期間中の神経細胞の活動を長期観察することが難しく、主に、運動学習後に実験を行っていたため、運動学習によって、この関係がどう影響を受けているのか詳細は不明だった。

今回、新たに開発された手法によって、行動中のマウスにおける神経細胞群の活動ならびに構造を数週間に及んで観察することが可能になったという。この手法は運動学習に限らず、さまざまな学習や、行動を制御する脳神経回路の仕組みの解明に広く応用されることが期待でき、学習のメカニズムに関する神経回路レベルでの詳細な理解は、将来的にアルツハイマー病など、学習と記憶の障害の治療に役立つことが期待されるとしている。

さらに、このような運動学習のメカニズムの詳細な理解は、将来的にブレイン・マシン・インターフェース(BMI)や義肢開発に応用できる可能性もあるという。(浅見園子)

▼外部リンク

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/info/info1027/

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