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健康アプリのダイエット、歩行習慣がない人の方が成功しやすいと判明-筑波大ほか

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2024年08月02日 AM09:20

健康アプリを利用した減量には個人差があるが、成功する人の特徴は不明だった

筑波大学は7月30日、減量開始時に歩行習慣がない人の方が減量に成功しやすいことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大体育系の中田由夫教授、SHI YUTONG氏(スポーツ医学学位プログラム博士課程3年)、株式会社Wellmira、佐々木由樹CPHO(Chief Public Health Officer)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。

肥満は、2型糖尿病や心血管疾患など、非感染性疾患の主要なリスク要因であり、世界的な公衆衛生課題の一つだ。肥満を解消するためのさまざまな対策が検討される中、近年、ウェブベースで提供される生活習慣改善指導による減量介入(ウェブベース介入)に注目が集まっている。中でも、スマートフォンの健康アプリを利用した食事や運動の介入は、減量に効果的な方法として人気があり、公衆衛生的にも大きな意義がある。

しかし、同研究グループが過去に実施した「健康アプリの有効性を検証したランダム化比較試験」では、その有効性が認められた一方、実際の減量効果には個人差があることも示された。そこで今回の研究では、このデータを用いて、健康アプリを利用して減量に成功する人の特徴を探索的に分析することを目的とした。

指定のアプリを使用した肥満成人68人のうち、3か月の介入で25人が減量に成功

研究では、先行研究のランダム化比較試験において、指定の健康アプリを利用した介入群に割り付けられた過体重または肥満成人68人(男性73.5%、平均年齢42.3歳)を対象とし、この先行研究で得られた体重変化や身体活動量などのデータを利用。参加者には体重を測定するための体重計が提供されるとともに、身体活動量をモニタリングするための加速度計が貸与された。また、自記式質問票ソフトウェアを用いて、参加者の基本的特徴(年齢、性別、身長、体重、、歩行習慣、歩行速度、既往歴、服薬状況、家族歴、喫煙状況、職業、学歴、世帯収入、居住形態)が収集された。

参加者は、スマートフォンのアプリ内に毎日の食事(朝食、昼食、夕食、間食)、運動、体重、気分、睡眠を記録しており、これらの入力回数を介入への遵守性の指標とみなした。介入期間中、研究グループはデータの入力回数をモニタリングし、食事の入力が週4日に満たない場合は参加者にメールを送り、継続的な記録を促した。ただし、このようなリマインドによる介入効果を避けるために、同研究の分析ではリマインドを行わなかった最初の1週間の入力回数を遵守性のデータとして利用した。

その結果、初期体重の3%減量を達成した人を減量成功者と定義すると、3か月の介入により、対象者68人のうち25人が減量に成功していた。

もともと歩行習慣がない人ほど歩くことを促す通知に反応し、運動量が増加した可能性

減量開始時の特徴とアプリ利用状況との関連を分析したところ、単変量解析注では、歩行習慣の有無と歩行速度は減量成功と負の関連を示した一方、家族歴(脳卒中、心臓病、高血圧、脂質異常症、糖尿病)の保有は減量成功と正の関連を示した。これらの変数を用いて多変量解析を実施したところ、歩行習慣の有無のみが統計学的に有意な決定因子となり、減量開始時に歩行習慣がない人ほど減量に成功することがわかった。

このことは、もともと歩行習慣がない人ほど、アプリから配信される歩くことを促す通知に反応し、運動量が増えて減量につながった可能性が考えられる。さらに、統計学的有意水準には達しなかったものの、歩行速度が遅いことと、家族に既往歴がある(家族歴がある)ことも、減量成功に関連する可能性が示唆された。

「歩行速度が遅い・家族歴がある」も減量成功に関連、アプリの機能向上に役立つ可能性

今回の研究結果から、減量開始時に歩行習慣がないことが減量成功に関連する有意な予測因子として同定され、歩行速度が遅いことと家族歴があることも減量成功に関連する可能性が示唆された。

「健康アプリを使って減量に成功する人の特徴が明らかになったことは、今後の健康アプリの開発や改良、とりわけ健康アプリのパーソナライズ機能の向上に役立つと考えられる。このような機能を追加した際の有効性について、さらなる研究を進める予定だ」と、研究グループは述べている。

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