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要介護の高齢者、「脊椎圧迫骨折」で介護度上昇リスク10倍-群大ほか

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2024年07月09日 AM09:19

高齢者に多い「脊椎圧迫骨折」、受傷後の介護リスクは不明だった

群馬大学は7月2日、レセプト情報のビッグデータを活用し、高齢者に多い脊椎圧迫骨折の受傷後の経過の詳細を初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科整形外科学の筑田博隆教授、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学の康永秀生教授、自治医科大学データサイエンスセンターの山名隼人講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Bone and Joint Surgery」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

脊椎圧迫骨折は加齢に伴う骨粗しょう症が主な原因で、転倒やしりもちなどのちょっとした怪我で生じる骨折だ。高齢者の約5人に1人が経験する骨折だが、多くの場合は数週間~数か月で治癒する。しかし、一部の患者では持続する腰痛や背骨の変形などに悩まされることもあり、足の痛みやしびれ、麻痺などの症状が出てくる場合には手術が必要になる。ところが、これまでの研究では、どのような患者で痛みが持続し日常生活に影響を及ぼすかについては明らかにされていなかった。

脊椎圧迫骨折後23%は4か月後も鎮痛剤が必要、被介護者の多くはより介護が必要に

研究グループは今回、65歳以上の圧迫骨折患者1万8,392人のレセプト情報から、受傷後の生存期間・鎮痛剤の処方期間・要介護度の変化を調べ、さらにそれぞれのリスク要因について解析した。

その結果、圧迫骨折後に4か月以上の長期にわたって鎮痛剤が必要な患者が23%いることが明らかになった。さらに、骨折前から介護を受けていた患者は、骨折後により多くの介護が必要となるリスクが、リスク比で10倍であることが判明した。

要介護者は骨粗しょう症の治療を行うなど、適切な圧迫骨折の予防が重要

これまで不明だった高齢者の脊椎圧迫骨折後の鎮痛剤の処方期間や要介護度の変化について調査を行った結果、鎮痛剤を長期間処方された人や要介護度が悪化する人のリスク要因が初めて明らかになった。脊椎圧迫骨折後の長期的影響を詳細に検証した研究は過去に例がなく、得られた知見は今後の適切な医療・介護の資源配分に役立つと考えられる。

同研究成果により、すでに介護を必要としている患者は骨粗しょう症の治療を行うなど、適切に圧迫骨折を予防することが重要であることが明らかにされた。一方で、実際に患者が日常生活においてどのようなことで痛みに困っているのか、どのような介護が必要となったのかの詳細は明らかにされていない。そのため、具体的な日常生活動作のレベル(歩行できるのか、杖や車椅子が必要なのか)や必要な介護(食事の介助、入浴の介助、トイレの介助などが必要か)などについて、詳しく追跡調査することが必要だ。

また、骨粗しょう症の重症度(どれだけ骨が折れやすいか)や、骨折の重症度(変形をきたしているか、麻痺などの神経症状が出ているか)による違いは検討されていない。さらに骨折の後、骨粗しょう症治療を行うことで痛みや介護度が改善するか否かについての検討もされていない。「これらの重症度を考慮することで、将来的には患者にとってより最適な治療を提供できるようにすることが求められる」と、研究グループは述べている。

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