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結核を疑う患者へのフルオロキノロン投与に注意喚起

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2012年09月24日 PM12:00
診断前6ヶ月以内に投与を受けたケースで死亡率上昇

フルオロキノロンの投与は、結核の診断が下されていない患者に対して広く行われているが、結核患者に同剤を投与することは死亡率を上昇させるという論文がThe International Journal of Tuberculosis and Lung Diseaseに掲載され、結核の診断前の患者への投与は慎重に行うよう呼びかけられた。

 

投与を受けた患者の3分の1が死亡

テネシー州の保健局が2007年から2009年の2年間で、結核の診断の6ヶ月前から診断までの間のフルオロキノロンの投与と患者の転帰に関連性があるかを生存分析にて検証した。抗結核薬の投与期間終了と共に打ちきりとしている。

209人の患者のうち、診断前6ヶ月にさかのぼってフルオロキノロンの投与を受けていた患者は214名(35%)に上った。このうち71名(12%)が死亡の転帰をとっている。71名の内訳では、10名は結核の診断と同時に死亡しており、61名は抗結核薬の投与期間中に死亡していた。

高齢、HIV陽性で特にリスク上昇

多変量ロジスティック回帰分析では、年齢が上がるごとに死亡率が上がることが確認された(オッズ比 1.05/年, 95%信頼区間 1.04-1.07)。また、HIV陽性者 (オッズ比 8.08, 95%信頼区間 3.83-17.06)、米国出身者 (オッズ比 3.03, 95%信頼区間 1.03-9.09)でも、比較群より有意に死亡率が高くなることが報告されている。フルオロキノロン投与群全体でも、非投与群と比較すると明らかに死亡率が高まっている(オッズ比 1.82, 95%信頼区間 1.05-3.15)。

投与を受けた患者では、投与を受けなかった患者に比べて培養陽、塗抹ともに陽性となっているケースが多かった。

結核を疑われる患者への投与は慎重に行うよう注意喚起

この調査から、フルオロキノロンの投与は、結核を増悪させ、死亡のリスクを高めることが確認された。このため、結核の疑いのある患者への投与は、慎重に行うよう注意が喚起された。

フルオロキノロン系は多剤耐性の結核菌に活性を示すことがあるため、国内でも結核の患者や結核の疑いのある患者に対しての投与が行われている。

▼外部リンク

ingentaconnect ; Fluoroquinolone exposure prior to tuberculosis diagnosis is associated with an increased risk of death
http://www.ingentaconnect.com/content/iuatld/

感染症学雑誌 ; Fluoroquinolone系抗菌薬の存在下におけるPseudomonas aeruginosa臨床分離株の耐性化変異について
http://journal.kansensho.or.jp/kansensho/

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