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健康格差に「低所得・飲酒・肥満」が関与、ビッグデータ解析で-東京医歯大ほか

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2024年05月07日 AM09:20

健康行動の格差は高血圧の健康格差に寄与する可能性があるが、研究に乏しかった

東京医科歯科大学は4月24日、ビッグデータを用いて、日本人の高血圧に「」が存在し、その格差が拡大傾向にあることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野の相田潤教授の研究グループと、、大阪国際がんセンターとの共同研究によるもの。研究成果は、「Hypertension Research」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

健康格差は所得などによる健康の差異で、健康格差の解消は国の政策である「(第二次および三次)」の基本的な方向の1番目に、健康寿命の延伸と並んで位置づけられている。高血圧は心血管疾患、脳卒中、認知症、慢性腎臓病の主要なリスク要因である上、有病率が非常に高いため、公衆衛生上の大きな問題だ。健康行動の格差は高血圧の健康格差に寄与している可能性があるが、このことを調べた研究は近年特に少なく、解析方法も古典的だった。

そこで研究グループは今回、健康格差の解消方法を探るため、修正可能なリスク要因が、高血圧の所得による健康格差をどの程度説明するかを検討した。

1億人超のデータを解析、高血圧の有病率は高所得者層より低所得者層で「高」

2009~2015年までのレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の特定健診・特定保健指導(メタボ健診)に参加した40~74歳、延べ1億人を超えるデータを繰り返し横断研究として解析に用いた。また、健診受診場所の市町村の平均所得を社会経済状況の指標として用いて分析した。

男性延べ6868万4,025人の平均年齢は54.7歳(SD=9.6)、女性延べ5911万8,221人の平均年齢は56.7歳(SD=10.0)だった。高血圧の有病率は、高所得者層(男性33.3%、女性21.5%)よりも低所得者層(男性48.6%、女性40.2%)の方が高いという健康格差が認められた。健康格差は経年的に増加する傾向があった。

低所得ほど不健康な行動や肥満「多」、女性は高所得ほど喫煙や飲酒「多」

高血圧の定義を血圧だけとして、降圧薬の有無で層別した分析も実施したところ、降圧薬を使用していない人の方が健康格差が大きかった。また、所得が低いほど不健康な行動や肥満が多い傾向にあった。ただし、女性においては所得が高いほど喫煙や飲酒が多かった。修正可能なリスク要因は、所得と高血圧の関連を、男性で10.6%、女性で15.1%説明した。男性では、飲酒と肥満が高血圧の格差を、それぞれ8.8%と5.5%で説明した。女性では肥満が18.8%を説明した。運動不足(1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施にいいえと回答)は、経年的に格差を説明する割合を増加させていた。また、降圧薬を服用している女性では、喫煙が5.5%を説明し、比較的高かったとしている。

健康格差改善には、人々を取り巻く環境へのアプローチが大切

日本人成人における高血圧には健康格差が存在し、修正可能なリスク要因は格差を部分的に説明した。このことは、これらのリスク要因を改善することで、高血圧の健康格差が縮小することを示唆している。一方で、高血圧の健康格差が経年的に増加していたことから、格差への対策が求められる。しかし、健康格差はさまざまな環境に生じており、自己責任で解消するものではないことが知られている。そのため肥満予防や禁煙の健康教育といった方法の効果は低く、むしろ経済的に豊かで余裕がある人の健康だけを改善し、貧しい人の改善には寄与しないことが多い。

「職場での健康的な食事の提供や、禁煙や禁酒につながる税制、運動する余裕ができる勤務時間など、人々を取り巻く環境へのアプローチが大切だ」と、研究グループは述べている。

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