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住宅の種類と死亡リスクの関連を検証、低リスクは「持ち家」「公的賃貸」-千葉大ほか

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2024年04月16日 AM09:30

海外では「公営住宅」が高リスクとの報告、日本では?

千葉大学は4月12日、9市町村の4万4,007人の高齢者を2010年から約9年間追跡し、住宅の種類と死亡リスクの関連を検証した結果、「」が最も死亡リスクが低いということが判明し、賃貸住宅の中では、公的賃貸住宅に住む高齢者で最も死亡リスクが低いことがわかったと発表した。この研究は、同大予防医学センターの花里真道准教授と東京大学先端科学技術研究センター古賀千絵特任助教からなる研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

住宅は、健康にとって重要な要素の一つである。住宅には、持ち家と賃貸住宅があり、後者には民間賃貸住宅と公的賃貸住宅がある。公的賃貸住宅には、都道府県営、市町村営の公営・公社の住宅やUR都市機構(旧公団)による住宅が含まれている。持ち家に住む高齢者と比較して、賃貸住宅に住む高齢者は社会経済的に不利な立場に置かれている傾向があり、海外では公営住宅で死亡リスクが最も高いと報告されている。さらに、民間賃貸住宅と比較して、大規模かつ計画的に設置された公的な賃貸住宅は住まいを取り巻く環境が異なることが想像される。しかし、これまで、住宅種別の違いによる死亡リスクへの影響や、特に賃貸住宅におけるリスクの差は報告されておらず不明だった。

4万人以上の高齢者を対象にした9年間の追跡データを解析

研究グループは今回、持ち家に住む高齢者と比較した、民間および公的な賃貸住宅に住む高齢者の死亡リスクを、9年間の追跡データを用いて検討した。具体的には、)が65歳以上の高齢者を対象とした、自記式郵送調査を用いた。2010~2019年の9年間追跡可能、性別、年齢、住居変数に欠損無し、日常生活動作が自立している4万4,007人のデータを用いて、死亡リスクを分析した。住居種別は、持ち家、民間賃貸住宅、公的賃貸住宅、その他の賃貸住宅で定義した。性別、年齢、婚姻状況、教育歴、等価所得、同居家族、職歴、最長職、うつ、疾患の有無(がん、呼吸器、心疾患、脳卒中、糖尿病、その他)、BMI、社会参加(スポーツ・趣味)、社会的サポート、人口密度、居住歴の影響を統計的に考慮した。死亡率のハザード比の算出には、Cox比例ハザードモデルを使用。賃貸住宅間の多重検定のため、ボンフェローニ補正をした。

所得を考慮しても公的賃貸のほうが民間賃貸より死亡リスクが低い

追跡調査期間中に、1万638人(24.2%)の死亡が発生していた。検証の結果、持ち家に住む高齢者で、死亡リスクが最も低い結果だった。一方、3種類の賃貸住宅に住む高齢者のうち、所得など関連が考えられる要因を考慮後も、民間賃貸住宅やその他の賃貸住宅に比べ、公的賃貸住宅に住む高齢者は、死亡リスクが最も低いという結果だった。賃貸住宅間で死亡リスクを比較した結果では、公的賃貸住宅に住む高齢者の死亡リスクは、民間賃貸住宅に住む高齢者と比較して低いという結果だった。

日本の公営賃貸住宅が有するより良い住環境が、死亡リスクの低さに影響した可能性

公的賃貸住宅に住む高齢者は、持ち家居住者より高い死亡リスクではあったが、民間賃貸住宅に住む高齢者と比較すると統計学的に有意に低い結果となった。この結果は諸外国の結果と異なる。JAGESの別調査では、公営・公団・公社などの賃貸住宅に居住するうちの7割がUR都市機構による団地(旧住宅公団による団地)に居住していた。UR都市機構によって開発された大規模な団地は、コミュニティの育成を目指した近隣住区論をベースに、街路や公共施設、公園などが計画的に配置され、建物の隣棟間隔やオープンスペース、街路樹など、空間の快適性を考慮した整備が進められてきた。より良い近隣環境は、健康や健康行動に良い影響をもたらすことがわかっている。公営賃貸住宅が有するより良い住環境が、死亡リスクの低さに影響した可能性がある。

「この研究は、日本の高齢者の住環境と死亡リスクを分析した初めての研究である。公的賃貸住宅で死亡リスクが低い詳細な要因を明らかにすることで、健康長寿社会の実現を目指した住宅施策やまちづくりの検討に役立つ可能性がある」と、研究グループは述べている。

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