「FACEDUO」の新規トレーニングプログラム
大塚製薬株式会社は4月4日、株式会社ジョリーグッドとの共同事業であるVRトレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」の新たなプログラムとして、「感情認知トレーニングVR」の提供を開始したと発表した。
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発達障害は脳機能の発達が関係する障害で、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害、チック症、吃音などがあり、複数の障害が重なって現われることや、知的な遅れを伴うこともある。
発達障害の特性は子どもの頃から現れるが、周囲の理解やフォローによって発達障害と気付かないまま大人になり、人間関係や仕事でつまずいてから初めて気付くことも少なくない。コミュニケーションが苦手な場合は、その特性をよく理解し、社会で人と人が関わりながら生きていくために必要となるソーシャルスキルの習得が大切だ。
対人関係が苦手な精神疾患、ASDなど発達特性を持つ人向けに開発
FACEDUOは、人とテクノロジーで当事者のリカバリーを支えるVRトレーニングプログラム。社会生活場面を教材にVRで練習できるソーシャルスキルトレーニング(SST)支援プログラム、ひきこもり者の家族に社会参加を促す際に有効なコミュニケーションのポイントや対応方法を学ぶことを目的とした、ひきこもり家族支援プログラムなどがある。
感情認知トレーニングVRは、「社会認知および対人関係トレーニング(SCIT)」の理論をもとに構築された「良好な人間関係を築く能力を育てる」ことを目的とした感情を学ぶ世界初のVRトレーニングプログラム(専門医監修)。対人関係が苦手な精神疾患、自閉スペクトラム症や自閉傾向など発達特性を持つ人に向けて開発された。
人間の6つの基本感情を楽しみながら1人で繰り返し学習可能
従来のトレーニングで使用されるイラストや2D動画の教材では、当事者が感情移入して相手の感情に共感する実践的な練習を行うことが困難だった。また、対人不安によって集団トレーニングに参加できないことも多く、新たな教材が支援現場で求められていたことから同プログラムの開発に至ったという。
SCITや社会認知の理論を背景としつつ、「相手の感情を推測する」「相手の感情に合わせた対応をする」ことに特化したトレーニング法で、人間の6つの基本感情である「怒り・喜び・悲しみ・驚き・嫌悪・恐怖」を、感情を表す言葉、表情、声・仕草、共感の4ステップで学ぶ内容となっている。VR技術を用いた臨場感のあるリアルな映像で日常生活のさまざまな場面を体験することにより、安心して繰り返し学習することが可能。また、「感情認知トレーニング」では、対人不安によって集団に入ってトレーニングに参加できない人が1人で実施できるよう、支援者の代わりにVRセラピストがVR内の進行を担当する。
また、トレーニングが継続できるよう、グラフィックや効果音などのゲーミフィケーション要素を取り入れ、わかりやすさと楽しさの両立を実現。相手の感情を推測し、それに合わせた対応方法をVRで学ぶことで、良い対人関係を築くための基盤作りができるという。
精神疾患当事者の社会復帰への貢献に期待、学校や一般企業への導入も目指す
コンテンツ監修者である東邦大学医学部 精神神経医学講座・社会実装精神医学講座の根本隆洋教授は「FACEDUO感情認知トレーニングは、社会認知の中で、感情認知という相手の感情を理解し良い対人関係を築く能力や技能を育て高めることを目的として開発されたプログラムだ。本プログラムの普及が社会生活における困難感を日々感じている精神疾患当事者の社会復帰や社会参加につながることを期待している」と、述べている。
なお、同プログラムは「良好な人間関係を築きたい」と考えている全ての人に利用可能な内容であることから、今後は医療・福祉施設のほか、学校や一般企業への導入も目指すとしている。
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