住友ファーマは、次世代の成長領域と位置づける再生・細胞医薬事業について2027年度に売上100億円以上を目指す。目標達成に向け中枢神経、眼科、希少疾患で、日本と北米で2製品以上の上市、開発品で5品目以上を確保する方針だ。
中期的な売上の中核として、パーキンソン病を対象とした他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「DSP-1083」の国内や北米での売上を見込む。ほか小児先天性無胸腺症を治療する他家培養胸腺組織「リサイミック」の北米や欧州での伸び、再生・細胞医薬の製造受託の拡大に期待する。
「DSP-1083」は、京都大学で実施されていた医師主導治験の2年間の観察期間が23年末で終了し、近く結果が開示される見通し。このデータを使用して、条件および期限付き承認を前提に国内で24年度中の承認や上市を目指す。米国でも同社が資金や細胞を提供する同様の医師主導治験が始まった。患者数が多い米国での承認や売上確保に期待する。
21年度に米国で販売を開始した「リサイミック」は、米国に自社製造施設を建設した。25年5月から実製造を開始する予定で、製造が軌道に乗れば、米国から欧州その他の地域への展開も期待できる。
住友化学と共同で吹田市に立ち上げた再生・細胞医薬の製造受託施設は、22年2月から稼働を開始しており、既に複数の企業から受注がある。高品質で安定的にiPS細胞から目的の細胞を作るノウハウや技術、設備を持つことが、競争を勝ち抜く原動力になる。同社は、非常に順調な立ち上がりと見ており、日本から米国への進出も視野に入れる。
これらは木村徹代表取締役専務執行役員が大阪市内で開いた記者会見で明かしたもの。再生・細胞医薬事業については、27年度売上の100億円以上に続き「32年度には1000億円以上の売上を目指し、当社の基幹事業にしたい」と語った。
32年度には末梢臓器を対象に加え、販売地域も欧州、アジアに拡大。3~4製品以上の上市、開発品で5~10品目以上の確保を目標としている。