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高齢期の骨密度維持に、青年期のバスケ・バレー経験歴が関連する可能性-順大

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2023年12月22日 AM09:00

青年期の運動実施種目の違いは高齢期の骨密度と関連するか

順天堂大学は12月19日、東京都文京区在住の高齢者1,596人を対象とした観察研究により、青年期にバスケットボールやバレーボールをしていた人は、高齢期(65~84歳)の骨密度が高くなる可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科スポートロジーセンターの大塚光大学院生(博士後期課程2年)、田端宏樹博士研究員、田村好史センター長補佐/先任准教授、河盛隆造センター長/特任教授、綿田裕孝副センター長/教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Frontiers in Physiology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

骨量は、20代にピークを迎え、その後50歳頃まで維持し、加齢に伴い減少していく。特に女性では閉経後に急激に減少し、70歳以上の日本人女性の約40%が骨粗しょう症と報告されている。骨粗しょう症を背景とする転倒・骨折は女性の要介護になる原因第2位となっている。骨密度は一度低下すると上がりづらいため、青年期に最大骨量を高めておくことが高齢期の骨密度の維持すなわち骨粗しょう症の予防に重要だ。

青年期に運動を実施すると最大骨量を高められることはよく知られており、特に、バスケットボールやバレーボールなど骨に加わる刺激の大きい運動をしている人では、水泳やサイクリングなど骨に加わる刺激の少ない運動をしている人に比べて骨密度が高くなるといわれている。しかし、このような青年期の運動実施種目の違いが長期的に影響し高齢期の骨密度とも関連するかはよくわかっていない。

バスケ経験者は男女とも大腿骨頸部の、女性バレー経験者は腰椎の骨密度が高い

研究グループは今回、日本の伝統的な「部活動」に着目した、東京都文京区在住の高齢者を対象とした観察型コホート研究「Bunkyo Health Study」(文京ヘルススタディー) において、中学・高校生期に行った運動部活動の種目と高齢期の骨密度との関連について検討した。具体的には、研究に参加した65~84歳の高齢者1,596人(男性681人、女性915人)を対象に身体組成、血液検査、DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いて大腿骨頸部および腰椎の骨密度を評価した。また、質問紙により中学・高校生期に運動部活動に参加していたかどうか、参加していた人はどのようなスポーツ(部活動)に取り組んでいたかについて調査した。大腿骨頸部および腰椎の骨密度を従属変数とし、各スポーツ(運動部活動)の実施の有無および参加者の特徴(年齢、体重、血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値など)を独立変数として、青年期の運動種目と高齢期の骨密度との関連を、重回帰分析を用いて解析した。

その結果、中学・高校生期にバスケットボールをしていた男女で高齢期の大腿骨頸部骨密度が高く(男性:β=0.079、P<0.05)(女性:β=0.08、P<0.01)、中学・高校生期にバレーボールをしていた女性では、高齢期の腰椎骨密度が高い(β=0.08、P<0.01)ことが示された。

青年期の運動経験は、一般人でも高齢期の骨密度に長期的な影響を及ぼす可能性

今回の研究の興味深い点は、競技レベルや運動量の多いアスリートなどでなく一般人であっても、数十年前の中学・高校生期の運動経験によって得られた骨利益が高齢期まで長期に渡って維持される可能性を示している点である。昨今、少子化が進むなか、部活動の運動部員数が減少傾向にあり、スポーツをしたくても部活がない時代がくるのではないかと危惧されている。実際にスポーツ庁の調査では2009年~2018年の間に中学生の運動部活動所属者が約13.1%減少したと報告されている。「研究成果は、中学・高校生期にバスケットボールやバレーボールといった骨に大きな刺激が加わるスポーツを行うことで、長期的に骨の健康をもたらし、青年期の運動実施が将来の健康につながる可能性を示唆している。しかし、運動強度、運動量、運動時間の詳細など、まだ不明な点が多く残されており、今後さらなる研究を進めていきたい」と、研究グループは述べている。

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