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慢性血栓塞栓性肺高血圧症、エドキサバンの有効性・安全性をP3試験で確認-九大ほか

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2023年11月16日 AM10:57

GL推奨ワルファリンのデメリット克服のDOAC、CTEPHでのエビデンスは未確立

九州大学は11月14日、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension:)に対するエドキサバン(商品名:リクシアナ(R))の医師主導治験の結果を発表した。この研究は、同大病院循環器内科の細川和也助教、阿部弘太朗講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Circulation」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

CTEPHは、肺動脈内の器質化血栓により肺動脈の狭窄・閉塞が生じ、肺高血圧と右心不全を呈する。国内患者数約5,000人の希少疾患だ。

抗凝固療法は、CTEPHにおいて最も基本的かつ重要な治療法だ。一方で、診療ガイドラインで推奨されているのは、食事制限や頻回な採血を必要とするワルファリンのみ。ワルファリンのデメリットを克服した新規経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulants:)の安全性と有効性に関するエビデンスは、確立されていなかった。DOACは、ビタミンK阻害により血液凝固因子の合成を減らすことで血液を固まりにくくするワルファリンと異なり、直接特定の血液凝固因子の働きを阻害する。そのため、ビタミンKを多く含む食事の制限や、頻回の採血による用量調節が不要だ。

ワルファリン対照、多施設共同ランダム化比較医師主導治験

日本発のDOACエドキサバンをCTEPHに対して適応拡大することを目的とし、2021年1月に「慢性血栓塞栓性肺高血圧症を対象としたエドキサバンの有効性及び安全性を検証するワルファリン対照、多施設共同ランダム化比較試験第3相医師主導治験KABUKI trial」を開始。全国11の治験実施医療機関(九州大学病院、杏林大学医学部附属病院、東邦大学医療センター大橋病院、東北大学病院、神戸大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院、千葉大学医学部附属病院、国際医療福祉大学三田病院、東京医科大学病院、北海道大学病院)で実施し、2022年4月に目標症例数である74症例の登録を完了し、2023年3月末に症例観察を終了した。

同治験では、ワルファリンを内服中のCTEPH患者が、エドキサバンまたはワルファリンを内服し、1年後の肺血管抵抗の変化や経過中の出血や血栓症の発症などを観察した。

1年後の肺血管抵抗悪化なしなど、CTEPHへの有効性確認

同治験の結果、エドキサバンを内服した患者の1年後の肺血管抵抗は、ワルファリンを内服した患者の肺血管抵抗と比べて悪化はなく、大出血や血栓症の発生も、2つの薬剤間で差がなかった。以上の結果より、エドキサバンのCTEPHに対する有効性が検証され、安全性についても臨床上問題がないことが確認された。

今後、CTEPH適応追加の申請予定

今後、第一三共株式会社より、エドキサバンの適応症としてCTEPHを追加するための承認申請が行われる予定だ、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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