日本医療薬学会年会が3~5日に仙台市内で開催され、病棟薬剤業務実施加算を算定するための人員配置などをめぐり議論が行われた。病棟薬剤師の薬剤管理指導と病棟薬剤業務の両立に向けては、まず薬剤管理指導料をコンスタントに実施できる体制を整備した後、病棟薬剤業務実施加算の算定を目指していく必要性が指摘された(関連記事2面)
愛仁会明石医療センター薬剤科は、薬剤管理指導関連で約560万円算定しており、その金額は病棟薬剤業務実施加算の2.5倍に相当するという。同院薬剤科の寺沢匡史氏は、病棟薬剤業務実施加算を算定できない理由に「薬剤管理指導の時間を除き週20時間確保」という算定要件のハードルを挙げ、「薬剤管理指導と病棟薬剤業務のどちらにウエイトを置くかが話題となっており、薬剤管理指導を減らしてでも病棟薬剤業務実施加算を算定していきたい施設からの声を聞いている」と述べた。その上で、「薬剤管理指導の件数を落とすことは薬剤師の病棟業務の質を落とし、診療報酬上も減収となる」と話し、薬剤管理指導料をコンスタントに算定できるまでは薬剤管理指導を中心に業務のあり方を考えるべきとした。
同院薬剤科では、病棟薬剤業務実施加算に必要な20時間を確保するため業務改善も進めている。全一般病棟に薬剤師が常駐し、薬剤管理指導を含め病棟業務として1日7時間程度の時間を確保。医師から薬剤師へのタスクシフトでは、2022年8月から疑義照会後の処方変更に関する代行修正を行う一方、薬剤師同士のタスクシフトでは調剤室で行っている業務を病棟薬剤師が行うようにし、これら業務を病棟薬剤業務実施加算に算定することで算定要件の20時間を満たすことができたという。