アステラス製薬は1日、これまでも注意を呼び掛けてきた免疫抑制剤でタクロリムス徐放性製剤「グラセプターカプセル」と、タクロリムス普通製剤「プログラフ」などで後発品との取り違えがその後も発生し、取り違え後に拒絶反応が起きた例も報告されているとして、改めて文書で注意喚起した。
グラセプターの処方に対し、薬剤師が患者の後発品の求めに応じ、グラセプターには後発品がないにも関わらず、後発品の普通製剤に切り替えたケースも見られた。グラセプターの添付文書の「警告」欄には、普通製剤への切り替え時の注意が明記されている。
両剤は同成分だが、製剤的特徴および服薬後の体内動態が異なり、取り違えられて投与された場合、十分な薬効が得られない恐れがある。
同社は、「タクロリムス製剤の処方時にはお薬手帳や過去の薬歴等を参照していただき、徐放性製剤、普通製剤のいずれの処方内容であるか、また過去に誤った切り換えが行われていないか今一度確認してほしい」などと対応を呼びかけている。
後発品の普通製剤への切り替えミスは、両剤で異なる用法・用量に気づかず調剤したほか、院内の持参薬確認で発見されたケースもあった。そのミスは、グラセプターの在庫が近隣薬局を含めてなかったため、レセコンで別剤型を検索して普通製剤を誤って選択していた。患者には「名前は違うが同じ効き目のお薬です」と説明していたという。
グラセプターの添付文書の「警告」欄には、「プログラフ経口製剤と本剤の切り換えに際しては、血中濃度を測定することにより製剤による血中濃度の変動がないことを確認すること」と明記されている。これは「一部の患者において切り換え後のトラフ濃度に変動が認められることがあるため」(インタビューフォーム)に記載された。