厚生労働省は10月27日の社会保障審議会医療保険部会で、年内をメドに予定している2024年度診療報酬改定の基本方針策定に向け、具体的な方向性を示した。地域のかかりつけ薬局に対する適切な評価や病院薬剤師業務の評価のほか、薬局の医薬品供給拠点としての役割も評価する方向性を盛り込んだ。医療保険制度の安定性や持続可能性向上に向けては、後発品の使用促進の取り組みを推進するほか、長期収載品等の保険給付のあり方を見直す方向性にも言及している。
改定の基本的視点では、重点課題である「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」のほか、4点を定めた。
安心・安全で質の高い医療の推進を実現するために、薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価などに加え、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割も評価するとした。
医薬品産業構造の転換を見据え、医薬品の安定供給の確保も具体的な方向性に挙げた。
医療保険制度の安定性・持続可能性を高める取り組みとして、後発品については安定供給の確保の状況を踏まえつつ、使用促進の取り組みを推進する。長期収載品は保険給付のあり方を見直すと共に、経済性に優れた医療機器等の診療報酬上の評価や患者が自ら使用するプログラム医療機器等の保険適用のあり方を検討する。
革新性が高く市場規模が大きい、著しく単価が高い医薬品・医療機器については費用対効果評価制度を活用し、適正な価格設定を実施する。医薬品、医療機器、検査等について市場実勢価格を踏まえた適正な評価を行うと共に、効率的で有効・安全な利用体制を確保する。
さらに、医師・病院薬剤師と薬局薬剤師が協働した取り組みによる医薬品の適正使用を推進することによって効率化・適正化を図る。
重複投薬やポリファーマシー、残薬や適正使用のための長期処方への対応、リフィル処方箋の活用など医師と薬剤師の適切な連携を進めるべきとした。