厚生労働省は、薬局製剤指針に入っていない漢方製剤や生薬について、薬局製造医薬品として販売できるよう薬局製造販売医薬品の範囲の見直しを行う。一般用医薬品としての販売を中止し、医療用漢方製剤を販売するメーカーには一般用医薬品として承認を取得するよう働きかける。いわゆる「零売」については、医薬品医療機器等法でやむを得ない場合を除き薬局での販売を認めない方向にある中、一般用医薬品として製造販売するよう促し、漢方薬局が既存のルールの中で販売できるよう対応を検討する。
薬局製造販売医薬品の範囲の見直しは、10月30日に開催された医薬品の販売制度に関する検討会で議論の取りまとめ案に盛り込まれたもの。
厚労省によると、「医療用漢方製剤は医師の診療で使えるよう一般用医薬品の承認基準をもとに製造されてきた“逆スイッチ”のような経緯がある」という。その結果、医療用医薬品が主流となり、一般用医薬品の販売が中止され、漢方薬局の一部で零売が行われてきた。
零売をめぐっては、例外的に「やむを得ない場合」を除き、薬局での販売を認めないこととして法令上規定する方向にある。厚労省は、漢方薬局が「やむを得ない場合」の拡大解釈で医療用漢方製剤を販売するのではなく、薬局製造販売医薬品の範囲拡大により一般用医薬品として販売していく環境を整備したい考え。
医療用医薬品の漢方製剤を製造販売しているメーカーには、一般用医薬品として承認を取得するよう働きかけるなど、既存のルールの中で販売できるよう対応を検討していく方針だ。
医薬局総務課の太田美紀薬事企画官は、記者団に対し、「漢方薬局で生薬原料を刻んだエキス剤を需要者のニーズに合わせて提供しているケースもあるので、品目ごとに整理した上で薬局製造医薬品に載せていくことを検討している」と説明した。