取りまとめの方向案では、類似薬効比較方式か原価計算方式によって算定し、補正加算は既存のルールに従って評価するとした。具体的には、薬価算定組織で判断し、中医協総会における薬価収載の議論では、選択した選定方法など算定に当たっての考え方を説明する。
投与では、適切な患者選択や投与判断、特にアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現など重篤な副作用発現時に、迅速な安全対策を行えるよう最適使用推進ガイドラインを策定する。それに基づき、必要な内容を保険適用上の留意事項通知で示す方向だ。
市場拡大再算定は、短期間で急激に対象患者数が増大することは想定しにくいため、通常通り薬価調査やNDBに基づき再算定の適否を判断する。
ただ、収載時の予測よりも大幅に患者数が増加する可能性や患者当たりの投薬期間による影響もあるため、収載後の使用成績調査の結果を注視し、薬価上の対応が必要となった場合は中医協総会に報告し、取り扱いを検討する。
別の製造販売事業者が開発したアルツハイマー型認知症を対象とする抗体医薬品が薬価収載される場合には、必要に応じて中医協総会でレケンビの薬価・価格調整の取り扱いを改めて検討する。
一方、製造販売業者から提出された薬価基準収載希望書に示されたデータのうち、介護費用に基づく内容の評価は費用対効果評価の枠組みで検討するとした。
この日の部会では、費用対効果評価の介護費用分析をめぐり加藤源太参考人(京都大学病院診療報酬センター)がNDBと介護DB連結データ分析の特徴について説明した。
レケンビによる介護費用低減効果の可能性について「通所や介護サービスを受けずに済むドラスティックな効果が多くの事例で起こるのは難しい」とした一方、「要介護度が改善して通所サービスの単位数が変わってきたりすると、介護サービスの費用の低下につながる。薬剤が定着して実際に要介護度の変化が現れてくるかがカギではないか」との考えを示した。
その上で、「(エビデンスを出すには)ある程度薬剤の利用が進んでからになる」と述べ、短期的には難しいとした。