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脳梗塞発症後の心房細動、島皮質梗塞ありで塞栓症リスク「低」-国循

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2023年10月27日 AM10:48

心臓の自律神経支配に関与の「島皮質」、脳梗塞発症後の心房細動と塞栓症との関連は?

国立循環器病研究センターは10月25日、島皮質を含む脳梗塞発症後に心房細動を検出された患者で、塞栓症のリスクが低いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大研究センター脳血管内科の徳永敬介医師(現:白十字病院)、古賀政利部長、豊田一則副院長ら、峰松一夫名誉院長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Annals of Neurology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

心房細動は、脳梗塞の最も重要な危険因子の1つ。脳梗塞の発症前に心房細動と診断されたことがなかった患者の24%が、脳梗塞の発症後新たに心房細動と診断される。脳梗塞の発症後に検出された心房細動(AFDAS)には、以前から存在していた心房細動(KAF)の他にも脳梗塞を原因として新たに発症した心房細動が含まれており、そのような心房細動は持続時間が短く、塞栓症のリスクが低いと考えられている。そこで研究グループは、大脳皮質の一領域で心臓の自律神経支配に関与しているとされる島皮質を含む脳梗塞の発症後に心房細動を検出された患者は塞栓症のリスクが低いという仮説を立て、これを検証した。

頭部MRI撮像の脳梗塞1,548例対象、90日以内の塞栓症発生率を調査

対象は、国内18施設から心房細動を有する脳梗塞または一過性脳虚血発作患者1,192例を登録したSAMURAI-NVAF研究と、国内157施設からほぼ同様の基準で1,309例を登録したRELAXED研究から、来院時に頭部MRIを撮像された脳梗塞患者1,548例。90日以内の塞栓症()の発生率を調査した。

脳梗塞の発症後に心房細動を検出された患者、塞栓症リスク「低」

対象となった1,548例のうち、AFDASと島皮質梗塞を有していたのは360例(AFDAS+I群)、AFDASを有していたが島皮質梗塞を有していなかったのは409例(AFDAS-I群)、KAFと島皮質梗塞を有していたのは349例(KAF+I群)、KAFを有していたが島皮質梗塞を有していなかったのは430例(KAF-I群)だった。90日時点での塞栓症の累積発生率はそれぞれ0.8%、3.5%、4.9%、3.3%。

AFDAS+I群と比較し、AFDAS-I群(調整ハザード比5.04、95%信頼区間1.43-17.75)、KAF+I群(調整ハザード比6.18、95%信頼区間1.78-21.46)、KAF-I群(調整ハザード比5.26、95%信頼区間1.48-18.69)は塞栓症の発生率が有意に高い結果だった。

AFDAS病態生理に多く残る不明点、さらなる症例蓄積と検証が必要

同研究の結果から、AFDASと島皮質梗塞を有する患者は脳梗塞、一過性脳虚血発作、全身性塞栓症といった塞栓症のリスクが低いことが示された。AFDASの病態生理にはまだ不明な点が多いため、今後さらなる症例の蓄積と検証が必要と考えられる、と研究グループは述べている。

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