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理研 次世代型アルツハイマー病モデルマウスの開発に成功

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2014年04月28日 PM02:00

アルツハイマー病モデルマウスの開発

理化学研究所 脳科学総合研究センター神経蛋白制御研究チームの西道隆臣氏らは4月14日、従来のアルツハイマー病モデルマウスよりも、患者脳内のアミロイドの蓄積を忠実に体現する、次世代型アルツハイマー病モデルマウスの開発に成功したと発表した。


(画像はプレスリリースより)

アルツハイマー病の発症にはさまざまな要因があるが、アミロイドβペプチド(Aβ)が凝集し、アミロイド斑となって脳内に過剰に蓄積することが、発症の引き金となると考えられている。

これまでのアルツハイマー病の研究では、Aβの前駆体であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の遺伝子変異を同定し、APPを非生理的に過剰に発現させたAPP過剰発現マウス「第一世代アルツハイマー病モデルマウス」が使用されていた。

しかしこの場合、過剰発現したAPPが強い記憶障害をひきおこし、また脳内のアミロイドの蓄積もアルツハイマー病患者との類似性が低いため、ヒトのアルツハイマー病のモデルとして適切とはいえなかった。

第二世代のAPPノックインマウス

理研の研究チームは、より患者の症状に近似したモデルマウスの開発を試み、従来の過剰発現法ではなく、遺伝子を置き換える「ノックイン技法」を採用。家族性(遺伝性)アルツハイマー病の遺伝子変異を組み込んだターゲッティングベクターを作製し、ノックインによる遺伝子の置き換えを行うことで「APPノックインマウス(第二世代APPマウス)」の開発に成功したという。

これまでのAPP過剰発現マウスには、12カ月齢からアミロイド斑の形成が認められた。しかし、今回開発した第二世代APPマウスでは、APPの発現量は野生型と同じでありながら、アミロイド斑の形成は6カ月齢から確認できているという。また、加齢とともにアミロイド斑が多く形成され、蓄積するAβ種も、アルツハイマーの患者と同様であったという。さらに神経炎症やシナプスの脱落など、18カ月齢から記憶学習能の低下も認められたそうだ。

アルツハイマー病研究のリソース基盤に

第二世代APPマウスは、患者の脳のアミロイド蓄積に近似しているばかりでなく、第一世代にしばしば起こった原因不明の突然死が少ないという。モデルマウスとして非常に有用といえ、既存のマウスに代わって世界標準になる可能性が高いということである。

同グループは、さらに改良を加えた「第三世代APPマウス」も創出している。これらのマウスを用いて、未解明であるアルツハイマー病の病態メカニズムの解明、予防・治療のための創薬や診断法の開発など、臨床応用の研究におけるリソース基盤となっていくことが、今後期待される。(白井蓮)

▼外部リンク

理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140414_1/

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