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精神科医に対する統合失調症とうつ病のGL講習により、GL推奨治療率向上-NCNPほか

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2023年09月14日 AM10:26

医師のGL講習受講は、処方行動に変化を及ぼすか

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は9月11日、日本全国での多施設共同研究体制のもと、176の医療機関が連携して、精神科医に対して統合失調症とうつ病の診療ガイドライン(GL)の講習会を開催し、受講者の処方行動が変化するかについて大規模解析を行い、講習受講者は、診療GLの推奨する処方に一致する薬物療法を行うようになることがわかったと発表した。この研究は、同センター精神保健研究所精神疾患病態研究部の橋本亮太部長を代表者とする「EGUIDEプロジェクト」(「精神科医療の普及と教育に対するGLの効果に関する研究:Effectiveness of GUIdeline for Dissemination and Education in psychiatric treatment」)によるもの。研究成果は、「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

研究グループはこれまでに、統合失調症とうつ病のそれぞれに対する標準的な治療である抗精神病薬単剤治療率と抗うつ薬単剤治療率が0~100%と病院によって大きくばらついており、均てん化が必要であることを明らかにしてきた。また、統合失調症とうつ病の治療GLのそれぞれ1日の講習を受講することにより、精神科医のGLに対する理解度が顕著に向上することから、講習の受講が治療抵抗性統合失調症のクロザピン治療を含めた精神科の標準的な治療の普及に寄与することが期待されていたが、処方行動の変化についてこれまで検証されていなかった。そこで研究グループは、GLの講習が、医師の処方行動に変化を及ぼすのか検証を行った。

精神科医師782人がGL講習受講、推奨治療の施行割合を検討

オールジャパンでの多施設共同研究体制のもと、2016年から2019年にかけて精神科病床を有する176の医療機関、782人の精神科医師が、統合失調症とうつ病のGL講習を受講した。参加医療機関の統合失調症患者7,405人とうつ病患者3,794人において、GL推奨治療の施行割合を、GL講習に参加した医師が担当しているか否かで比較し、GL講習の講習効果を検討した。

・うつ病どちらも、受講医師によるGL推奨治療率が向上

その結果、統合失調症では、推奨治療である他の向精神薬の併用の有無を問わない抗精神病薬単剤治療率、抗不安薬・睡眠薬の処方なし治療率、他の向精神薬の併用のない抗精神病薬単剤治療率が、受講医師の方が受講しない医師に比べ有意に高い結果だった。うつ病でも、推奨治療である他の向精神薬の併用のない抗うつ薬単剤治療率、抗不安薬・睡眠薬の処方なし治療率が、受講医師の方が受講しない医師に比べ有意に高かったことがわかった。これらの結果から、GLの推奨治療の普及に対する、GL講習会の有効性が明らかになった。

他の診療領域も含め診療GLの社会実装に期待

研究により、講習会の受講が、診療GLの知識を増やすことに加えて、処方もGLの推奨に沿ったものに変容させることが示された。現在さまざまな医療領域において、診療GLが作成されているが、臨床現場で実際に活用される、すなわち、社会実装されるためにはどうすればよいのかは明確ではなかった。「このような講習会活動が、精神科領域のみではなく、全ての診療領域や全ての診療GLにおいて行われるようになれば、診療GLの社会実装は進むと考えられる。そして、全国のどこにいても、誰もが診療GLの推奨する治療を受けるようになることが期待される」と、研究グループは述べている。

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