東工大+東京医歯大発ベンチャー、空気圧駆動技術で「触覚」の再現に成功
リバーフィールド株式会社(以下、リバーフィールド)は5月31日、共同開発した手術支援ロボットシステム「Saroa(サロア)サージカルシステム」(以下、Saroa)の製造販売承認を取得したと発表した。この研究は同社と東京工業大学、東京医科歯科大学との共同研究によるもの。
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近年、外科手術において、術後の回復が早い、傷口が小さいなどの利点から、低侵襲な内視鏡外科手術における手術支援ロボットでの治療が増加の一途をたどっている。手術支援ロボットは、手振れ防止機能や手術に使用する術具(鉗子)に関節があることで精密に操作を行うことができ、外科治療において手術支援ロボットでの治療が今後さらに普及すると予想されている。
リバーフィールドは、東京工業大学と東京医科歯科大学の両大学発ベンチャー企業。両大学の研究成果実用化を目指して2014年に創業し、空気圧超精密制御技術を生かした世界初の空気圧駆動型手術支援ロボットを15年以上かけて開発してきた。この空気圧駆動技術により、手術に使用する鉗子にかかる力を検出し、執刀医に触覚(力覚)をフィードバック可能となった。従来はなかった触覚(力覚)を有することで自分の手で直接手術しているような感覚が得られ、手術の精度がより高くなると期待されている。
鉗子が握る力を制御情報から推定してフィードバック、直接手術しているような感覚
Saroa開発において、東京工業大学は、開発の視点からコンセプトや機構、制御方法の立案、基礎検討を、東京医科歯科大学では、医師の視点からSaroaを用いた手術シミュレーションや、ロボットの安全性評価を行った。
従来の手術支援ロボットは、カメラ映像から得られる視覚情報にのみ依存しているが、Saroaは鉗子が握る力(把持力)を制御情報から推定し、医師が操作するコントローラにフィードバックする機能が搭載されている。これにより、ロボットを操作する医師は、自分の手で直接手術しているような感覚で手技を行うことができ、患者に対して、より安全で高精度な手術の実現が期待できる。
「軽量・小型化」「導入コスト低減」も実現、市場導入を目指す
また、空気圧駆動を採用することで、医師などが至近距離にいる場合でも十分なスペースを確保できる軽量・小型なデザインを実現。手術室間・施設内の移動もしやすく、より柔軟な運用が可能となり、医療者にとって安全な設計になっている。
さらに、さまざまなメーカーの内視鏡、モニタおよび電気メス装置を組み合わせて使用することができるため、病院ですでに保有している装置を使用でき、導入コストの低減化を実現した。
Saroaは、東京医科歯科大学病院をはじめとする医療機関で臨床使用をスタートする予定だという。対象となる診療科は、胸部外科(心臓外科を除く)、一般消化器外科、泌尿器科、婦人科。今後、より多くの治療に貢献できるよう、市場導入を目指していくとしている。
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・リバーフィールド株式会社 プレスリリース