iPPFE栄養障害の頻度・栄養不良、疾患重症度や予後との関わりは不明
浜松医科大学は5月26日、特発性上葉優位型肺線維症(iPPFE)では70%を超える患者で栄養障害が見られること、特に、重度の栄養不良や経年的な栄養障害の進行が、重症度や予後予測の指標として役立つことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大内科学第二講座の鈴木勇三助教、須田隆文教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「ERJ Open Research」に掲載されている。
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間質性肺炎は、肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、線維化が生じることで、酸素を取り込みにくくなる原因不明の疾患だ。iPPFEでは、肺の上葉優位に線維化が進行する。iPPFE患者の多くは痩せ型の体型を呈することが知られている。一方、「痩せていること」や「痩せていくこと」の意義は不明で、栄養障害の頻度、栄養不良と疾患重症度や予後との関わりはわかっていない。
患者73.3%で栄養障害、重度栄養不良・栄養障害進行が重症度・疾患進行と関連
今回の研究では、iPPFEと診断された患者の診断時と診断後1年のデータを用いて栄養状態の評価を実施。栄養評価は、体重と血清アルブミン値からなる栄養指標(GNRI:Geriatric Nutritional Risk Index)を用いて行った。
その結果、70%を超えるiPPFE患者で栄養障害が認められた(131人中96人、73.3%)。また、重度の栄養不良や経年的な栄養障害の進行は、病気の重症度や疾患進行と関連することが明らかになった。
痩せない栄養管理や行動変容を促す方法の確立へ
今回の研究結果から、iPPFEでは栄養評価が重要なことが示され、特に「痩せていること」「痩せていくこと」が、非常に重要なサインになっていることが明らかになった。すなわち「痩せないこと」が重要な治療目標であることが示唆される。今後は、痩せない栄養管理や行動変容を促す方法の確立が重要と考えられる、と研究グループは述べている。
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