ハーバード大学、大阪大学と国際共同研究
横浜市立大学は4月4日、同大学院医学研究科の中島淳教授らの研究グループが、炎症性腸疾患の発症に関わる粘膜免疫の自己制御機構を発見したと発表した。
これはハーバード大学、大阪大学の水口裕之教授、和田孝一郎准教授等との国際共同研究の成果で、英科学雑誌「Nature」に現地時間4月6日付でオンライン掲載された。
(画像はプレスリリースより)
研究グループは腸粘膜上皮に存在し、インターフェロンγやインターロイキン4産生を増強するCD1dに注目。
炎症性腸疾患発症の原因のひとつではないかという指摘がある一方で完全になくしてしまうと逆に腸炎が悪化することが見いだされていたCD1dについて、CD1dを介した過剰炎症反応の自己抑制機構が存在すると考え、マウスを用いた研究を進めたという。
より良い治療法の開発進む可能性
その結果、CD1dがヒートショックプロテイン110(HSP110)やインターロイキン10(IL-10)などとともに、免疫反応の過剰な活性化を抑制する“自己制御機構”を持つことを発見。
このうち1つでも欠損させたマウスは、炎症反応の制御ができなくなり腸炎が悪化。腸粘膜上皮細胞において、これら 3つの分子が協調的に働くことで、CD1d を介した炎症反応を上手に制御していることが明らかになったとしている。
プレスリリースでは
この制御機構をヒトによる臨床研究を進めることで、病態発症の原因が明らかになる可能性があります。またこの知見をもとにした、より良い治療法の開発が進む可能性が期待されます。(横浜市立大学 プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
横浜市立大学 プレスリリース
http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/140407_research