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小児の原因不明の急性肝炎で国内報告156例、特定の傾向は確認されず-感染研

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2023年03月31日 AM10:06

基礎疾患有り25%、入院期間の中央値10日

国立感染症研究所は3月29日、「国内における小児の原因不明の急性肝炎について(第3報)2023年2月16日時点の事例報告集計」と題した報告をウェブサイトに掲載した。(および国立感染症研究所)の調査における暫定症例定義を満たす可能性例は、2023年2月16日までに国内で156例報告されている。


画像は感染研ウェブサイトより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

156例のうち、84例(54%)は男性、72例(46%)は女性で、年齢中央値[四分位範囲]は4歳6か月[1歳4か月-9歳2か月]であった。情報が得られた症例のうち(以下、分母は各情報が得られた症例数)、基礎疾患を有する者の割合は25%(39例/155例)であった。発症から入院までの期間は情報のある149例において、中央値[四分位範囲]は4日[2-8日]、入院期間は情報のある132例において、中央値[四分位範囲]は10日[7-15日]であった。

最もよく見られた症状は発熱・消化器症状、これまでの報告同様

少なくとも1回以上の新型コロナワクチン接種歴がある者の割合は17%(24例/145例)、肝炎発症の前に明らかに新型コロナウイルス感染症の既往歴があった者の割合は15%(22例/148例)であった。

最もよく見られた症状は発熱、消化器症状であり、これまでの報告と同様であった。肝機能の指標となるAST、ALT、総ビリルビン、PT-INRの中央値[四分位範囲]についても、これまでの報告と同様の傾向であった。

欧米で注目される「41型」は2例から検出

全血、血清、便、呼吸器由来検体を主な対象とした病原体検査の結果、7%(11例/150例)からSARS-CoV-2が検出された。また、アデノウイルスの検査が実施され、結果が判明した症例のうち、11%(16例/151例)からアデノウイルスが検出された。欧米で重症急性肝炎との関連について注目されているアデノウイルス41型は2例から検出された。現時点では、症例から検出された病原体について特徴的な傾向を認めない。

肝移植を要した症例は3例、死亡例1例

ICU/HCU入室例は17%(18例/103例)であり、急性肝不全の診断基準を満たす者は、PT-INRに関する情報の得られた99例のうち17例(17%)であった。これらの割合は第2報(2022年10月20日時点)と同様であった。急性肝不全の診断基準を満たす者17例のうち、肝移植を要した症例は、第2報から2例増加し3例(18%)であった。急性肝不全の診断を満たす者17例のうち、死亡例が1例報告された。転帰については、さらなる観察期間を要する可能性に注意が必要である。

、アデノウイルスの小児症例数の増加は見られず

また、報告には、関連する感染症発生動向調査の状況に関しても記載されている。

「ウイルス性肝炎」(E型肝炎・A型肝炎を除く)について、2023年3月7日時点では小児の症例数の報告が増えている兆候は見られていない。感染症法に基づくサーベイランス対象疾患としてのウイルス性肝炎(E型肝炎・A型肝炎を除く)(全数報告対象:5類感染症)では、小児の報告はでまれあり、2017~2019年と比べて、2020年以降の年間報告数は減少している。2021年以降、一貫してB型肝炎が最も多く、B型・C型肝炎が当疾患の7割以上を占めている(D型肝炎の報告は0例)。それら以外のウイルス性肝炎の症例報告数はわずかに増加したが、大半が成人からであり、その起因ウイルスの大半はサイトメガロウイルスとEBウイルスである。

「アデノウイルス」について、2023年3月17日時点では病原体検出情報システム(病原体サーベイランス)における報告状況から、アデノウイルスが大きく流行している兆候は見られていない。地方衛生研究所等が病原体サーベイランスに報告した病原体の検出情報(感染症発生動向調査の定点およびその他の医療機関、保健所等で採取された検体から検出された病原体の情報)によれば、2023年2月においてアデノウイルス報告数が増加している、あるいは高いレベルで推移している兆候は見られていない。小児科定点における胃腸炎症状(下痢、嘔気・嘔吐、腹痛)を認めた症例に限定しても、アデノウイルス報告数の増加や高いレベルでの推移は見られていない。アデノウイルスの検出は、2020~2021年は低いレベルで推移し、2022年以降にやや増加したが、2019年以前と比較すると少ない報告数で推移している。

「アデノウイルスに起因する症候群」について、流行している兆候は見られていない。アデノウイルスに起因する症候群には、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、感染性胃腸炎などがある。しかし、感染症発生動向調査から、アデノウイルスの流行状況を反映すると考えられる上記の症候群の発生傾向に異常は見られない。

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