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23Na MRIで早期糖尿病マウスの腎臓内ナトリウム代謝変化の可視化に成功-新潟大ほか

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2023年03月30日 AM11:09

23Na MRIは非侵襲的に、腎臓内の主に「対向流増幅系」の変化を評価することが可能

新潟大学は3月29日、23Na MRI装置を用いて、糖尿病モデルマウスでの糖尿病発症の早期段階における、腎臓内のナトリウムの代謝の変化をより鮮明に可視化したと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎・膠原病内科学分野の忰田亮平助教、成田一衛教授、筑波大学数理物質系の寺田康彦准教授、国際医療福祉大学成田保健医療学部の拝師智之教授、同・大学院自然科学研究科の佐々木進准教授、株式会社エム・アール・テクノロジーらの研究グループによるもの。研究成果は、「Kidney360」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

23Naを画像化した23Na MRIの研究報告は、これまでも行われているが、生体内のナトリウムの量が水素と比べて大変少なく、得られる信号値が非常に小さいため、生理食塩水程度のナトリウム濃度を捉えてMRIで明瞭な可視化をすることは困難だった。

研究グループは今回、開発した23Na MRIで、実験マウスのごく小さな腎臓を撮影できるよう最適化し、より詳細かつ明瞭に撮影することを可能にした。腎臓はナトリウムの排泄や再吸収に関わっている。腎臓内には、水の効率的な再吸収が可能となる対向流増幅系といった機構が備わっており、腎臓の皮質から髄質にかけてナトリウムイオンによる浸透圧勾配が形成されている。これまで、腎臓内のナトリウムの代謝に関わるチャネルやトランスポーターについては、多くの研究が行われてきたが、腎臓内全体のナトリウム量や分布の変化については、いまだ不明な点が多く残されている。23Na MRIは、非侵襲的に腎臓全体のナトリウムの分布を評価することができ、腎臓内の、主に対向流増幅系の変化を評価することが可能だとしている。

23Na可視化画像でマウス腎臓内の対向流増幅系の形成が弱くなっていることが判明

研究では、腎臓の組織の傷害がみられない段階の早期にあたる6週齢の糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)を用いて、同研究グループらが作成し最適化した9.4テスラの縦型磁石を用いて、MRI装置で腎臓を撮影した。

その結果、対照のマウスと比較し、腎臓内の対向流増幅系の形成が弱くなっていることが23Naを可視化した画像により明らかになった。この成果は、MRI装置を研究グループらが自作・改良し、撮像方法に独自の工夫を施したことにより得られたとしている。

ナトリウム代謝機能の変化を見ることで、糖尿病性腎臓病の早期診断・治療が可能に

23Na MRIでは、腎傷害を反映した血中・尿中マーカーを見る検査とは異なり、ナトリウムの代謝機能の変化を見ることで、糖尿病性腎臓病を早期診断できる可能性がある。臨床でもよく用いられている尿中アルブミンの測定とともに、糖尿病性腎臓病での尿細管の異常を早い段階で診断して、治療につなげられる可能性があるとしている。

23Na MRIの臨床応用に新たな道、対象臓器拡大の可能性も

23Na MRIでは、今までわからなかった腎臓内のナトリウムの代謝変化を明らかにできるため、糖尿病性腎臓病に留まらず、他のナトリウム代謝に関わる脱水や、一部の高血圧のより詳細な病態を把握できる可能性がある。

「今後、他の病気の診断にも役立つのかを明らかにしていきたいと考えている。また、マウスのごく小さな腎臓の詳細な可視化に成功したことから、対象臓器拡大の可能性も考えられる。これらの知見の積み重ねにより、23Na MRIの臨床応用に新たな道が開かれる可能性がある」と、研究グループは述べている。

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