医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > オンボー、活動期潰瘍性大腸炎の治療薬として承認-リリーと持田製薬

オンボー、活動期潰瘍性大腸炎の治療薬として承認-リリーと持田製薬

読了時間:約 2分12秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年03月29日 AM10:18

潰瘍性大腸炎の治療薬として世界初となる「抗IL-23p19モノクローナル抗体製剤」

日本イーライリリー株式会社と持田製薬株式会社は3月27日、ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤「オンボー(R)点滴静注300mg」「オンボー(R)皮下注100mg 」「オンボー(R)皮下注100mgシリンジ」(一般名:ミリキズマブ(遺伝子組換え)、以下、オンボー)について、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療薬として、日本イーライリリーが国内における製造販売承認を取得したと発表した。なお、同剤の点滴静注製剤は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を、皮下注製剤は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能または効果としている。

潰瘍性大腸炎は、主に大腸粘膜にびらんや潰瘍を形成する原因不明のびまん性非特異性の炎症性疾患で、特徴的な症状は下痢、持続性または反復性の血便、腹痛。若年者に発症し、慢性の経過をたどることにより、就学・就業・家庭生活などに影響を及ぼすことが多く、便意切迫感や便失禁などの症状は社会活動の制限やQOL低下に大きく関わっている。そのため、潰瘍性大腸炎には便意切迫感などの症状を大幅に緩和させ、臨床的寛解を持続させる新たな治療選択肢に対するアンメット・ニーズが存在する。

オンボーは、大腸粘膜の炎症に関与するサイトカインであるIL-23のp19サブユニットを標的としたヒト化IgG4モノクローナル抗体で、潰瘍性大腸炎の治療薬として世界初となる抗IL-23p19モノクローナル抗体製剤。IL-23とIL-12の共通のサブユニットであるp40には結合しないため、IL-23とIL-23受容体との相互作用のみを阻害して炎症性サイトカインの発生を抑える。

今回の承認は、2つの無作為化二重盲検プラセボ対照第3相臨床試験(12週間の寛解導入試験1試験[LUCENT-1]および40週間の維持試験1試験[LUCENT-2])を含むLUCENT臨床試験プログラムの有効性および安全性の結果に基づくもの。

従来の治療、、JAK阻害薬で十分な効果が得られなかった中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした寛解導入試験、寛解導入試験を完了した患者を対象とした維持試験のいずれも、主要評価項目、並びに便意切迫感を含む全ての重要な副次評価項目において、プラセボと比較して有意差が認められたとしている。

日本イーライリリーが製品供給、持田製薬が流通・販売、情報提供活動を担当

オンボーを寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)として使用する場合は通常、成人にはミリキズマブ(遺伝子組換え)として、1回300mgを4週間隔で3回(初回、4週、8週)点滴静注する。なお、12週時に効果不十分な場合はさらに1回300mgを4週間隔で3回(12週、16週、20週)投与することができる。また、ミリキズマブ(遺伝子組換え)皮下投与用製剤による維持療法中に効果が減弱した場合には1回300mgを4週間隔で3回点滴静注することが可能。

同剤を維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)として使用する場合は、ミリキズマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤による導入療法終了4週後から、通常、成人にはミリキズマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを4週間隔で皮下投与する。

国内では日本イーライリリーが製品供給を担当し、持田製薬が流通・販売、および情報提供活動を行うとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 2025年1月より社長交代で新たな体制へ‐アレクシオンファーマ
  • ミリキズマブの炎症性腸疾患に対する長期持続的有効・安全性データを公開-リリー
  • 転移性尿路上皮がん、一次治療における新たな選択肢への期待
  • 心臓ロボット手術用の部位を見やすく展開するプレートを開発-大阪公立大
  • 新たにオンコロジー領域に注力し「2031年までに年平均成長率8%を目指す」‐GSK