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新型コロナ「再感染による重症化予防効果」を19か国65件の研究で検証、その結果は?

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2023年03月02日 PM03:15

新型コロナウイルスへの感染は長期にわたり強固な免疫をもたらす

新型コロナウイルスへの感染により獲得した免疫は、同ウイルスに再感染した際の重症化に対する強力かつ長期的な予防効果を有することが、新たな研究で明らかになった。世界各国で実施された研究の結果を統合して検討した結果、再感染による入院や死亡の予防効果は、過去の感染から40週間後でも、オミクロン株で89%、従来株で90%に上ることが示されたという。米ワシントン大学保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation)のCaroline Stein氏らが実施したこの研究結果は、「The Lancet」に2月16日掲載された。


画像提供HealthDay

この研究でStein氏らは、複数のデータベースを用いて、2022年9月31日までに発表された、新型コロナウイルスへの感染により得られる予防効果について検討した研究を検索。世界19カ国で実施された65件の研究を特定し、過去の感染の、再感染、再感染による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症、および重症化(入院、または死亡)に対する予防効果についてメタアナリシスした。

対象研究の結果を統合して解析した結果、過去の感染の再感染に対する予防効果は、従来株、アルファ株、ベータ株、デルタ株については平均82%以上と推定されたが、オミクロン株BA.1については45.3%と低かった。また、再感染によるCOVID-19の発症に対する予防効果も、従来株、アルファ株、ベータ株、デルタ株については平均82%以上であるが、オミクロン株BA.1については44.0%と推定された。オミクロン株BA.1も含めた全ての株への再感染時の重症化予防効果は、いずれも78%以上であった(従来株78.1%〜デルタ株97.2%)。

さらに、従来株、アルファ株、デルタ株への再感染に対する予防効果は経時的に低下したものの、過去の感染から40週間後でも78.6%を保っていた。これに対して、オミクロン株BA.1への再感染に対する予防効果は急激な低下を示し、過去の感染から40週間後には36.1%にまで低下していた。その一方で、再感染による重症化予防効果は過去の感染から40週間後でも高く、従来株、アルファ株、デルタ株感染については90.2%、オミクロン株BA.1については88.9%を保っていた。

研究グループは、「これらの結果から、少なくとも新型コロナウイルスへの感染によりもたらされる予防効果のレベルとその持続期間は、mRNAワクチンの2回接種により得られる効果に匹敵することがうかがわれる」と述べている。

それでも研究グループは、初めて新型コロナウイルスに感染した人には、入院、死亡、後遺症のリスクがあるため、最良の予防策がワクチン接種であることに変わりはないことを強調している。Stein氏は、「特に重症化リスクの高い人にとって、新型コロナウイルスに対する免疫を得るための最も安全な方法は、ブースターも含めたワクチン接種だ」と付言する。

この研究には関与していない、米国立感染症財団の医療ディレクターを務めるWilliam Schaffner氏は、実際のところ、最強の予防効果は、感染と予防接種の両者による「ハイブリッド免疫」ではないかとの見方を示す。同氏は、「実際に、そのことを示すデータは増えつつある。すでに多くの人がワクチンを接種し、また、新型コロナウイルスに感染して回復している。つまり、多くの人の中に、新型コロナウイルスに対する強固な免疫ができているということだ」と話す。

研究グループは、今後、COVID-19ワクチンとそのブースターの接種に関する試験や承認、スケジューリングを行う際には、自然免疫についても考慮するべきだと主張している。本研究には関与していない、米ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターのAmesh Adalja氏もこの件に同意を示す。同氏は、ワクチンプログラムを決める早期の段階で、COVID-19罹患歴のある人ではワクチンの1回接種でも十分な予防効果が得られる可能性が示唆されていたにもかかわらず、感染歴の有無を無視した画一的なアプローチが採用されたことを指摘。その上で、「今後のワクチン政策が、もっと個々人の違いに配慮したものになることを願っている」と話している。(HealthDay News 2023年2月17日)

▼外部リンク
Past SARS-CoV-2 infection protection against re-infection: a systematic review and meta-analysis

HealthDay
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