厚生労働省は、1日の同部会でゾコーバの薬価に関する対応の方向性を提示。薬価収載時には複数の比較薬に基づき薬価算定を行うこと、薬価収載後の価格調整では直近3カ月の市場規模により年間販売額を推計し、1000億円超、1500億円超となった場合に特例拡大再算定を適用することを提案していた。
日本製薬団体連合会の眞鍋淳会長は、高額医薬品の薬価の対応で感染症治療薬が選ばれたことに「強い違和感がある」との意見を表明。再算定ルールの対象は「販売額1500億円超の場合に限るべき」とし、「引き下げ率の上限など、現行の市場拡大再算定の特例よりも厳しくなる方向で見直す必要はない」と主張した。
米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会のシモーネ・トムセン委員長は、「感染拡大により一時的に需要が増えた後、感染が急縮小し、実際の年間販売額が推計値に達しない可能性も十分考えられる」と述べた。
その上で、「直近3カ月の市場規模を4倍にして年間販売額を推計する方法は過大推計となる可能性があるため、実際の年間販売額合計で再算定の適用を判断すべき」と再考するよう求めた。
欧州製薬団体連合会(EFPIAジャパン)の岩屋孝彦会長は、ゾコーバが初の緊急承認制度が適用された医薬品であることに言及。「緊急承認をされるというのはよほどの医療上の必要性があって、差し迫った状態で承認される革新的な医薬品だとすれば、仮にもペナルティになるような薬価付けはおかしいのではないか」と再算定ルールが厳しく運用されることを問題視した。
さらに、「(緊急承認制度の承認要件の)有効性の推定が仮に市場で使われた結果、当初予想していたほどでもなかったとなった場合に、それに対してペナルティを与えるということについても、リスクを取って開発する企業がいなくなってしまうので反対だ。こうした医薬品には企業を勇気づける薬価付けをお願いしたい」と述べた。