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新型コロナ・オミクロン株流行期の抗原定性検査の感度・特異度を明らかに-阪大ほか

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2023年02月02日 AM10:20

Jリーグの選手・スタッフに対し同一日に行われたPCR検査と抗原定性検査を比較

大阪大学は1月30日、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株流行下において、Jリーグのクラブの選手やスタッフを対象に同一日かつ同一個人に行われたPCR検査と抗原定性検査の656件の結果に基づいて、抗原定性検査の感度と特異度を明らかにしたと発表した。この研究は、同大感染症総合教育研究拠点の村上道夫特任教授(常勤)、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)フットボール本部新型コロナウイルス対策部の佐藤一志オフィサー、産業技術総合研究所地質調査総合センターの保高徹生研究グループ長、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター健康医療インテリジェンス分野の井元清哉教授らの研究グループによるもの。研究成果は「BNJ Open」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための有効な手段の一つとして、PCR検査や抗原定性検査によって感染者を特定することが挙げられる。特に、抗原定性検査はPCR検査より安価であるため、頻度高く検査を行うことが可能であり、感染拡大を防ぐ上で効果的であると考えられてきた。しかし、オミクロン株に対して、特に感染直後における抗原定性検査の感度が低下する可能性が指摘された。抗原定性検査の感度は、感染拡大を防ぐ検査体制の効果を議論する際に基盤となる値であるが、抗原定性検査の感度を明らかにするには、同一日に行われたPCR検査と抗原定性検査を比較する必要があるため、これまで十分なデータ数に基づいた知見は得られていなかった。

そこで、研究グループは、Jリーグのクラブにおいて、選手とスタッフを対象に行われる定期検査と自主検査の枠組みにおいて、同一日にPCR検査と抗原定性検査が行われていることに着目し、オミクロン株流行下において同一日かつ同一個人に両検査が行われた656件の結果に基づいて、抗原定性検査の感度と特異度を調べた。

PCR検査と比べた抗原定性検査の感度は63%、特異度は99.8%

その結果、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度は63%(95%信頼区間:53–73%)、特異度は99.8%(95%信頼区間:99.5–100.0%)と判明した。また、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度は、症状の有無や発症から検査までの日数とは関連しなかった。このことは、症状の有無や感染してからの日数は、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度に影響しないことを意味している。

研究グループは、「検査の感度や特異度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための有効な検査体制を構築する上での基盤となる値だ」と述べ、JリーグとJクラブの選手やスタッフの協力によって今回の研究に至り、知見を提供することができたとしている。

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