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肥満者へのウェブベースの生活習慣改善指導は、減量効果「あり」-筑波大ほか

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2023年01月23日 AM10:13

ウェブベース介入の有効性を検証し、介入の効果的な構成要素を検討

筑波大学は1月18日、肥満者に対するウェブベースの生活習慣改善指導による減量効果を分析した結果を発表した。この研究は、同大体育系の中田由夫准教授、女子栄養大学栄養学部の津下一代特任教授、十文字学園女子大学人間生活学部の若葉京良講師の研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肥満は、2型糖尿病や心血管疾患など、非感染性疾患の主要なリスク要因であり、世界的な公衆衛生課題の一つだ。肥満を解消するためのさまざまな対策が検討される中、近年、ウェブベースで提供される生活習慣改善指導による減量介入(ウェブベース介入)に注目が集まっている。ウェブベース介入の減量効果についての論文報告数は増加しているが、介入の構成要素は多岐にわたっており、どれが効果的なのかは明らかになっていない。そこで今回の研究では、ウェブベース介入に関するこれまでの研究論文を、システマティックレビューとメタ解析を用いて分析。肥満者の体重変化に対するウェブベース介入の有効性を検証するとともに、介入の効果的な構成要素について検討した。

PubMed・医中誌などの1,466報を精査、51件を対象に解析

最終の論文検索日は2020年9月30日とした。所定の検索用語を使用して、2つの論文検索データベース(PubMed・医中誌)から1,465件の論文を抽出。手作業により検索した1件を加えた合計1,466件の論文を、一次スクリーニングの対象とした。タイトルと抄録を参照する一次スクリーニングの結果、「ランダム化比較試験ではない」などの除外条件に該当した1,315件を除外し、151件の論文を二次スクリーニングの対象とした。

二次スクリーニングでは、151件の論文を全文入手し、精読した結果、「体重変化が報告されていない」「ウェブベース介入ではない」などの除外条件に、54件の論文が該当。最終的に97件の論文が採用され、それぞれの介入で採用されている行動変容技法を把握するために質的分析を実施した。そのうち、定量的なデータが抽出できた51件を量的分析の対象とし、ウェブベース介入の有効性を検証するとともに、効果的な構成要素について検討した。

「個別化された情報提供」「専門家の助言」で有効性を確認

質的分析の結果、ウェブベース介入で最も頻繁に使用された構成要素は、行動変容のセルフモニタリングの76件、次いでソーシャルサポートの63件だった。また、それぞれの構成要素のうち、有意な減量効果を示した論文数が多かったのは、ソーシャルサポート(24件)、行動変容のセルフモニタリング(24件)、アウトカム(体重)に対するセルフモニタリング(21件)、行動目標設定(17件)、情報提供(16件)、アウトカムの目標設定(13件)などだった。

量的分析では、対象となる51件の論文のうち、ウェブベース介入の効果をオフラインの対照群と比較した44件について分析。その結果、ウェブベース介入がオフライン介入よりも体重減少に効果的であることが示された(SMD-0.57[-0.75, -0.40])。

また、ウェブベース介入の構成要素別の効果を検討した結果、対象者の基本情報や目標達成状況に基づく個別化された情報提供(SMD-0.39[-0.73, -0.05])と専門家の助言(SMD-0.42[-0.75, -0.08])の有効性が認められた。一方で、オンラインチャットには有効性は見られなかった(SMD0.18[-0.09, 0.45])。

非対面で利用可能な費用対効果の高い減量介入手法として、エビデンスが得られた

今回の研究により、ウェブベース介入に減量効果があることがわかり、非対面で利用可能な費用対効果の高い減量介入手法としてのエビデンスが得られた。今後、有効な構成要素を組み合わせることで、より効果の高い減量プログラムの開発につながると期待される、と研究グループは述べている。

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