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患者は「impressive」「occult」などを用いた医師の説明をどう捉えている?-米調査

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2022年12月16日 PM12:00

医学用語を誤解する患者は少なくない

医師の説明をよく理解できず混乱したまま診察を終えた経験がある人は少なくないだろう。しかし、それは患者側の問題ではないかもしれない。医師にとっては意味するところが明らかな医学用語でも、患者にとってはしばしば意味不明であることが、米ミネソタ大学医学部准教授のMichael Pitt氏らによる調査から明らかになった。この調査結果は、「JAMA Network Open」に11月30日発表された。


画像提供HealthDay

今回の調査は、米ミネソタ州で毎年開催されるイベント「ミネソタ・ステート・フェア」の2021年の参加者215人(女性63%、平均年齢42歳)を対象に実施された。調査では、いくつかの誤解される可能性がある医学用語に関する13の質問を、音声を聞いてもらうか読んでもらい、それがどのような意味だと思うかを選択肢から選んでもらった。

その結果、多くの人が正確に意味を理解している言葉もいくつかあった。例えば、がんのスクリーニング検査の結果が「negative」(「否定の」「負の」などの意)と言われたときに、その意味を「がんがない」ことと正確に理解していた人の割合は、96.3%に上った。また、79.5%の人が、胸部X線で「unremarkable」(「目立たない」「平凡な」などの意)と言われたときに、それが「目立った所見なし」を意味すると知っていた。その一方で、回答者の3分の1が「nodes are positive」(リンパ節陽性)ががんの転移を意味することを知らなかったほか、5分の1が、腫瘍が「progressing」(「前進・進行している」の意)と言われたときに、それが悪い知らせであることを理解できていなかった。さらに、胸部X線検査の結果が「impressive(「印象的な」「感動的な」などの意)」と言われたときに、それが「気がかりな結果」を意味すると理解していた人の割合はわずか21%だった。

このほか、「occult」(オカルト)という言葉を医師が使った場合、肉眼では確認できないほど少量の血液が尿に混じっている場合など、見えにくいこと(不顕性)を意味している。しかし、一般的には多くの人にとっては、「オカルト」といえば超常現象を思い浮かべるはずだ。今回の調査回答者でも、「オカルト感染(不顕性感染)」の意味を理解していた人はまれで、呪いに関係する何かだと考える人が多かった。

Pitt氏は、「英語には良い意味だけを表す単語があるが、われわれはこうした単語を医学用語として勝手に取り入れ、別の意味を与えた」と言う。一方、今回の調査には関与していない、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部教授のMichael Wolf氏によると、患者の混乱を招く医学用語の問題は以前から広く認識されていたという。そのため、同氏にとって今回のPitt氏らの調査結果に驚きはなかったという。

Pitt氏は、「医師たちは研修中、自分を聡明な人に見せてくれる医学用語を使うよう教えられる。そのような用語を日常的に使っているうちに、医師たちは次第に、かつては自分自身もそれらの言葉の意味を知らなかったことを忘れてしまうのかもしれない」と推測している。

なお、医学用語の問題に対して何の取り組みも行われていないわけではない。例えば、(AMA)は、患者への説明が終わったら、その内容を患者に自分の言葉で話してもらい、理解しているかどうかを確認する「ティーチバック」という方法を取り入れるよう、医師に勧めている。

一方Wolf氏は、患者に対する助言として、「医師の説明が分かりにくかった場合にはそのことを率直に伝えるべきだ。もし医師が急いでいる様子だったとしても、患者には質問する権利がある」と主張している。

Pitt氏は、患者から医師に対してティーチバックの時間を求めることを推奨し、「患者から医師に『今お話しされたのは、こういうことですよね? もし間違っていたら教えてください』と確認してみると良い」と助言している。(HealthDay News 2022年12月2日)

▼外部リンク
Accuracy in Patient Understanding of Common Medical Phrases

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