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先端巨大症、治療薬への反応性を予測する分子マーカー候補を同定-千葉大

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2022年12月13日 AM11:01

第一選択薬は抵抗性の症例もあり、分子生物学生的特性の解明が求められる

千葉大学は12月12日、)の原因となる成長ホルモン産生下垂体腫瘍と治療薬への反応性を規定するタンパク質を同定し、さらにその分子メカニズムを解明する端緒を得たと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院分子病態解析学講座の永野秀和特任准教授、同講座および千葉大学災害治療学研究所の田中知明教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Communications Biology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

アクロメガリーは、血液中の成長ホルモンが正常よりも増加することで、身体にさまざまな兆候を示す病気。長い年余をかけて特徴的な顔つきに変化し、四肢末端や舌の肥大を引き起こす。また、心肥大、骨関節症状、、悪性腫瘍などの合併症を引き起こし、放置すると正常者よりも平均寿命が短くなると言われている。

アクロメガリーでは、脳下垂体に腫瘍ができることで、正常者よりも成長ホルモンが増加する。アクロメガリーの治療は、手術で脳下垂体に存在する腫瘍を取り除くことが第一選択だ。大きな腫瘍などで治癒切除に至らなかった場合や手術が困難な場合には、薬物療法を行う。ソマトスタチンアナログは、成長ホルモンの分泌を抑制し、かつ腫瘍自体も縮小させる効果を持つ薬剤。しかし、治療抵抗性の症例も少なくなく、より効果的な治療ターゲットを探索するために、アクロメガリーの分子生物学生的特性を調べることが求められている。

ターゲットキャプチャシーケンスで新規GNAS変異等を発見

アクロメガリーでは、腫瘍に遺伝子変異GNASを認めることが広く知られている。ターゲットキャプチャシーケンスから、57.0%の症例でGNASに活性化変異を有することを認めた。多くは、すでに知られているホットスポットにおける変異だったが、新規のGNAS変異を3症例に認めたという。また、アクロメガリーに関連の深い遺伝子(AIP、GPR101、SSTR5、ARRB1/2)や、cAMP経路に関与する遺伝子(PRKACA、PRKACB、PRKAR1A)の変異も検出された。

ノンターゲットプロテオミクスでソマトスタチンアナログ感受性を示す分子ATP2A2、ARID5Bを同定

一般に、ソマトスタチンアナログの効果は、オクトレオチドを使用した負荷試験で確認する。そこで、ノンターゲットプロテオミクスから得られた全タンパク質発現量とオクトレオチド負荷試験における成長ホルモンの変化率の相関解析をした。その結果、ATPase sarcoplasmic/endoplasmic reticulum Ca2+ transporting 2(ATP2A2)、AT-rich interaction domain 5B(ARID5B)タンパク質の発現が高いほど、薬剤の感受性が高いということわかった。

WWC3、SERINC1も、ソマトスタチンアナログ治療効果予測分子マーカーになる可能性

また、実際にソマトスタチンアナログの治療を行った症例の腫瘍体積の変化率についても同様に相関解析。その結果、WWC family member3(WWC3)およびserine incorporator 1(SERINC1)タンパク質は、ソマトスタチンアナログ治療を行う上で、その効果を予測する重要な分子マーカーになる可能性が示された。

有効な治療法開発と薬物治療の選択肢が広がることに期待

同研究結果から、アクロメガリーの治療薬ソマトスタチンアナログに対する反応性に関わるタンパク質をノンターゲットプロテオミクスから見つけることに成功した。しかし、これらのタンパク質がアクロメガリーという病気にどの程度関わっているのかは、まだ明らかではない。研究グループは今後、下垂体腫瘍での組織学的な発現とこれらの分子の機能を調べることでさらなる分子メカニズムの解明を目指すという。それによって、アクロメガリーに有効な治療法の開発と薬物治療の選択肢が広がり、今よりも多くのアクロメガリーの治癒につながることが期待されるとしている。

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