厚生労働省は8月30日、アストラゼネカの新型コロナウイルス感染症治療薬「エバシェルド筋注セット」(一般名:チキサゲビマブ・シルガビマブ)を特例承認した。コロナ治療薬として国内で9番目で、新型コロナウイルス感染症に対する治療に加え、曝露前の発症抑制の効能・効果を取得した初の薬剤となる。ただ、感染症予防の基本はワクチンであることから、厚労省は発症抑制を目的とした投与については「ワクチンに置き換わるものではない」とし、ワクチン接種が非推奨、接種後に十分な免疫応答が得られない人に限定する方針だ。
エバシェルドは、新型コロナウイルスに感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体「チキサゲビマブ」と「シルガビマブ」の併用療法。新型コロナウイルスのスパイク蛋白質の異なる部位に同時に結合することで、作用の持続性が従来型の抗体に比べ3倍以上になるとされ、第II相試験データでは6カ月間効果が持続することが示されている。同社が6月に国内申請し、8月29日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で特例承認することが了承されていた。