公知申請による承認を経て、不妊治療にも使用可能に
ファイザー株式会社は8月24日、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体製剤「製品名:ナサニール(R)点鼻液0.2%」(一般名:ナファレリン酢酸塩水和物)について、「生殖補助医療における早発排卵の防止」の治療薬として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。
今回の一部変更承認は、日本生殖医学会が、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に保険適用を要望し、ファイザー株式会社に開発が要請されたという経緯がある。その後、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で事前評価が行われ、「生殖補助医療における早発排卵の防止」における、ナサニールの有効性および安全性は医学薬学上公知であると判断されたことから、2022年2月に、医薬品製造販売承認事項一部変更承認の公知申請を行った。今回の承認により、不妊治療にも使用可能となる。
日本では1995年に「子宮内膜症」の効能・効果で承認
ナサニールは、米国シンテックス社(現ファイザー社)が創製したゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト。日本では1995年1月に「子宮内膜症」の効能・効果で承認され、1999年3月に「子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善 過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」の効能・効果が追加で承認されている。海外では2022年7月現在、同剤は子宮内膜症等の効能・効果にて、米国、欧州を含む18の国および地域で承認されている。
用法及び用量について、「子宮内膜症、子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく過多月経、下腹痛、腰痛、貧血の改善」は、「通常、成人には1回あたり片側の鼻腔に1噴霧(ナファレリンとして 200μg)を1日2回、月経周期1~2日目より投与する」とし、「生殖補助医療における早発排卵の防止」は、「通常、1回あたり片側の鼻腔に1噴霧(ナファレリンとして200μg)を1日2回投与する」としている。
ファイザーR&D合同会社の石橋太郎社長は、「不妊症でお悩みの方は、原因の特定から治療、妊娠および出産に至るまでの間、身体的・精神的な負担に加え、経済的な負担も少なくないため、今回の承認と保険適用により、日本における不妊治療に貢献できることを期待している」とコメントしている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース