OSNA法によるがんリンパ節転移迅速検査を推進
シスメックス株式会社は3月6日、リンパ節前処理装置RP-10について、新たに日本市場での発売を開始したと発表した。発売を通し、OSNA(R)法によるがんリンパ節転移検査の標準化・迅速化を目指すという。
早期乳がん手術では、リンパ節中のがん転移の有無を確認する病理組織診断が術中と術後の2度行われ、その結果に基づいて切除範囲や術後治療などの診療方針を決定するのが一般的だ。しかしこのフローには、限られた時間内での検査実施や転移判定の困難さなど、課題も多く残されていた。
そこで同社は、病理医および患者の負担軽減を実現するため、独自の技術としてOSNA(One-Step Nucleic Acid Amplification:直接遺伝子増幅)法を開発し、2008年には、これを用いた国内初の乳がんリンパ節転移迅速検査の自動化を実現した。
(画像はプレスリリースより)
適用がん種拡大も、さらなる臨床的価値向上へ
さらに乳がんのみならず、2013年には大腸がん、胃がんリンパ節転移検査が保険適用されるなど、適用がん種の拡大への取り組みも進められており、OSNA法について約60件の論文報告がなされるなど、臨床的価値がひろく認められてきているという。
こうした適用がん種の拡大も踏まえ、シスメックスではOSNA法によるがんリンパ節転移検査のさらなる標準化と迅速化を目指し、自動でリンパ節を破砕・可溶化する装置として、今回のリンパ節前処理装置RP-10を発売した。
OSNA法による検査を行うには、検体となるリンパ節を破砕・可溶化しなければならない。現在は一般にホモジナイザー装置を使った用手法で前処理されているが、このRP-10を使用することにより、測定時間を10%弱短縮することができるという。
処理能力は、最大4リンパ節/バッチ。同社では、この新製品が検査の効率化をさらに進め、検査担当者のワークフローを改善、ひいては患者の負担軽減につながるとしている。また、今後もリンパ節転移検査の標準化に向け、積極的な取り組みを継続する方針という。(紫音 裕)
▼外部リンク
株式会社シスメックス プレスリリース
http://www.sysmex.co.jp/news/press/2014/