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小児コロナ患者、デルタ/オミクロン株流行期ごとの特徴を比較-成育医療センターほか

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2022年08月16日 AM10:49

BA.5流行前、国内レジストリ登録の小児入院患者が対象

国立成育医療研究センターは8月12日、オミクロン株流行期(BA.5がまだ存在しなかった時期)における小児新型コロナウイルス感染症による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株流行期と比較検討した結果を発表した。この研究は、同センター感染症科の庄司健介医長、国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの秋山尚之主任研究員らの研究グループが行ったもの。研究成果は、「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

新型コロナウイルス感染症の第6波では、感染力が強いとされるオミクロン株が流行し、小児患者数が増加した。しかし、日本におけるオミクロン株流行期の小児新型コロナウイルス感染症の臨床的特徴についての情報は限られ、その解明が求められていた。

今回研究グループは、国立国際医療研究センターが運営している国内最大の新型コロナウイルス感染症のレジストリ「COVID-19 Registry Japan ()」を利用し、患者の背景や臨床経過、ワクチン接種歴、予後などのデータを集計・分析した。研究対象は、2021年8月~2021年12月(デルタ株流行期)と、2022年1月~3月(オミクロン株流行期)の間にCOVID-19 Registry Japanに登録された18歳未満の新型コロナ入院患者847人で、内訳はデルタ株流行期458人、オミクロン株流行期389人だった。

オミクロン株流行期は入院患者が若年化傾向、2~12歳の発熱やけいれんが多く

入院患者の年齢の中央値はデルタ株流行期が8歳、オミクロン株流行期が6歳と、オミクロン株流行期の方が若年化している傾向にあることがわかった。また、オミクロン株流行期は、教育関連施設での感染が考えられる症例がデルタ株流行期より多くあった。

症状について、オミクロン株流行期は、デルタ株流行期に比べて2~12歳の患者で発熱やけいれんが、また、13歳以上の患者で咽頭痛が有意に多かったことがわかった。一方、6歳以上の患者の嗅覚・味覚障害はオミクロン株流行期には少なかったこともわかった。酸素投与を要した患者はオミクロン株流行期に多かったが、人工呼吸管理や集中治療室入院を要した患者の数、割合には大きな変化はなかった。

2回接種済患者は軽症

新型コロナワクチン2回接種を終えていた患者は、847人中50人(5.9%)だった(接種の有無が不明であった患者は57人)が、50人はいずれも軽症だった。ワクチン接種歴の有無が判明していた790人の中で、酸素投与、集中治療室入院、人工呼吸管理のいずれかを要したより重症と考えられる患者43人のうち、新型コロナワクチン2回接種を受けていた患者は0人だった。

ワクチン接種が子どもの重症化から守る方向に働いている可能性を示唆

今回の研究により、日本の小児新型コロナウイルス感染症の入院症例の実態がオミクロン株流行期にどのように変化したのかが明らかになった。発熱やけいれんが増えていたことは、小児新型コロナウイルス感染症の診断を考える上で重要な情報と考えられる。

一方、同研究の解釈には注意が必要だ。その理由として、オミクロン株の中で現在流行している BA.5がまだ存在しなかった時期に実施されているためその影響は検討できていないこと、患者それぞれからデルタ株やオミクロン株が証明されているわけではなく、あくまでそれぞれの株が国内の主流であった時期の患者を比較した研究であること、ワクチン接種を実施されていた患者がまだ少数にとどまっていること、同レジストリに登録された患者は日本全体の患者の一部であり、すべての新型コロナウイルス感染症患者が登録されているわけではないことなどが挙げられる。

「小児新型コロナワクチン接種者自体が少ない時期の研究のため限界はあるが、ワクチン接種が子ども達を新型コロナウイルス感染症の重症化から守る方向に働いている可能性を示唆している結果であったことは重要な結果と考えられる。小児新型コロナウイルス感染症の特徴はその時に流行している変異株により変化しうるので、引き続き情報の収集、解析を続けていくことが重要だ」と、研究グループは述べている。

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