厚生労働省医政局の安藤公一医薬産業振興・医療情報企画課長は6日、オンラインで開かれた日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会で講演し、2023年以降にバイオシミラー(BS)普及に向けた課題や施策について議論する検討会を立ち上げることを明らかにした。検討結果はアクションプランとしてまとめたい考えだ。
安藤氏は、欧米諸国と比べて日本がバイオ医薬品開発で遅れている現状を踏まえ、「ベンチャー育成を進め、特にシーズ探索で優位性を持っているベンチャーと製薬企業が連携する形で新薬を開発するエコシステムをどう構築するかが大きな課題」と言及。政府がBS推進に向けた目標を年度内に定めることにも触れつつ、「推進には様々な課題がある」とした。
具体的には、製造ノウハウの構築と製造に通じた人材育成、BSへの正しい理解を医療現場、国民・患者に普及啓発することを挙げ、「トータルとしての対策が必要になる。製造過程の問題、普及啓発、制度的な課題も背景にある」と指摘した。
一例として、高額療養費制度に言及。「上限額に達してしまう人にとって、BSに切り替えるインセンティブにならない。その点は後発品と異なる。後発品は医療費が少なくなるメリットが大きいが、相対的にBSはどうしても低くなるため、制度上の課題もある」と述べた。
そのため、検討会を設け、BS普及に向けた課題抽出、施策の立案を行った上で、アクションプランを策定したい考えを示した。
立ち上げ時期については、「まずは流通・薬価制度に関する有識者検討会を優先するため、直ちに進めるのは難しい。来年に立ち上げ、様々な人に協力を得ながら進めたい」とした。
また、後発品の産業構造をめぐる課題については、後発品の数量シェアが8割に到達し市場の成長拡大が鈍化していることや開発コストの増加、毎年の薬価改定による影響を踏まえ、「これまでのビジネスモデルでの経営が困難になっている」と指摘。「持続的な品質確保や安定供給という観点から産業構造を見直す必要がある」とし、有識者検討会でも議論を進めていく考えを明らかにした。