心臓病患者に対するアンケートにより
東北大学大学院 医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授らの研究グループは2月24日、東日本大震災後に精神的ストレスが増大し、経年的に増加していることを明らかにした。
(画像はプレスリリースより)
この研究結果は、東日本大震災が心臓病患者に与えた精神面における影響を明らかにすることを目的とした、アンケート調査の結果によるもの。同研究グループは、このアンケート調査を同大学病院循環器内科に通院する慢性心不全患者、および高リスク患者1,725名を対象に、郵送によって実施した。精神的ストレスは、世界標準として使用されているIES-R(Impact of Event Scale-Revised)スコアを用いて評価したという。
海外大災害と同等かそれ以上の精神的ストレス
この調査の結果、2011年に有効回答を得た1,180名のうち、14.1%がPTSR/PTSDと判定された。大災害後の精神的ストレスに関しては、過去、海外で24件の調査研究が行われているが、それらのPTSR/PTSD陽性頻度は12.5%と報告されている。東日本大震災でも同等か、それ以上の精神的ストレスを抱えている患者が存在することがわかった。
また、翌2012年の調査結果ではPTSR/PTSDの頻度が18.9%と増加していたという。その要因としては、両年とも共通して患者自身の受傷や近親者の受傷・入院・死亡、自宅の損壊などがあったが、2011年では心不全の重症度(病気そのものの要因)、2012年では失業・転職、経済的困窮(社会的要因)が関与していることが明らかになったとしている。
同研究は、震災後の精神的ストレスが長期にわたり持続し、その頻度はむしろ経時的に増加すること、そしてその要因が変化していくことを初めて明らかにしたといえる。(小林 周)(小林 周)
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/