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コロナ禍の休校で起床・朝食が遅かった子どもは不健康な生活習慣を持つリスク高-東大

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2022年05月20日 AM11:30

コロナ禍の子どもたちの睡眠・食事の時刻パターンと生活習慣・食事摂取量との関連を調査

東京大学は5月18日、コロナ禍による臨時休校中の小中学生の睡眠と食事の時刻パターンを分析した結果を発表した。この研究は、同大未来ビジョン研究センターの杉本南特任研究員(研究当時)、東京大学大学院医学系研究科の村上健太郎助教、佐々木敏教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Public Health Nutrition」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

COVID-19の流行により、日本を含む多くの国で臨時休校が実施された。学校は、学齢期の子どもたちの睡眠および食習慣に大きく関わる要素である。そのため、長期の休校は、子どもたちの睡眠や食習慣を変化させた可能性がある。しかし、これまでの研究では、長期の休校中における、睡眠と食事を組み合わせた概日リズム、およびその概日リズムと生活習慣との関連は調べられていなかった。

そこで研究グループは今回、臨時休校中の学齢期の子どもたちの睡眠と食事の時刻パターンを特定し、それらのパターンと、運動などの生活習慣および食事摂取量との関連を調べることを目的として調査を行った。

小中学生6,220人の臨時休校中の起床・就寝・食事の時刻を分析、4つの時刻パターンを発見

2020年6月に、全国14都道府県の48の学校・団体に所属する小中学生1万1,958人に対する横断調査を実施。調査では、学校・団体を通して児童・生徒に質問票を配布し、過去1か月(臨時休校中)の睡眠時間と食事時間、生活習慣、食事摂取量を評価した。食事摂取量の評価には、・高校生のための食事質問票(brief-type self-administered diet history questionnaire:BDHQ15y)を用いた。解析には、調査票に回答し、必要な情報が揃っている6,220人の子ども(8~15歳)のデータを用いた。潜在クラス分析を用いて、、就寝、食事の時刻に基づいて、睡眠と食事の時刻パターンを特定。さらに、対象者が、身体活動レベルが低い、朝食欠食の頻度が多いといった、不健康な生活習慣を持つリスクを、ロジスティック回帰を用いて検証した。また、食品および栄養素の摂取量を、睡眠と食事の時間的パターン間で比較した。

潜在クラス分析により、特に、起床と朝食の時刻が異なる4つのパターンが見出された。4つのパターンは、時刻の順に、「非常に早い(参加者の20%;6時頃に起床、6~7時頃に朝食)」、「早い(24%;7時頃に起床、7時頃に朝食)」、「遅い(30%;7~8時頃に起床、8時頃に朝食)」、「非常に遅い(26%;8~10時頃に起床、9~10時頃に朝食)」とラベル付けされた。

起床と朝食の時刻が遅いパターンの子ども、朝食と昼食の欠食や栄養バランスの乱れなどを確認

起床と朝食の時刻が早いパターンでは、学校のある平時と同様の時刻に起床し朝食をとっていると思われたが、遅いパターンでは、早いパターンと比較して、起床、朝食、昼食の時間帯が1~2時間以上遅くなっていた。

起床と朝食の時刻が遅いパターンの子どもは、起床と朝食の時刻が早いパターンの子どもよりも、身体活動が不活発であり、テレビなど何らかの画面を見ている時間が長く(≧4時間/日)、学習時間が短く(<2時間/日)、朝食と昼食を欠食する頻度が多い傾向がみられた。さらに、起床と朝食の時刻が遅いパターンの子どもは、ビタミン類、ミネラル類、野菜、果物、魚介類、乳製品の摂取量が少なく、砂糖や菓子、清涼飲料類の摂取量が多い傾向がみられたという。

長期休校時も、平時と同様の時刻に睡眠と食事を取る習慣を保つことが重要

今回の研究により、長期に学校が休校になった際、平時より著しく遅い時刻に起床し朝食を取っている子どもでは、不健康な生活習慣を持つリスクが高いことが示された。

「将来、感染症や災害等が原因で長期に学校が休校になった際にも、平時と同様の時刻に睡眠と食事を取る習慣を保つことが重要である可能性が示唆された」と、研究グループは述べている。

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